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Magic a Load

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シンはさらに落ち込んだ声を出した。
「嘘だろ・・・。こんな重要な時に・・・。はっ。そういえば俺、さっき気味の悪い物を見たんだ。はっきりとは解らなかったけどなんか淡い白い光が俺の目の前を横切ったんだ。まるで俺を誘うように。」
「ああ、それなら俺も見た。ジェイコブの言葉を言いたくないがまさかこの歳でも本当にこんな事が起きるとは思いもしなかったよ。でも今はとりあえず四人の事だけに集中しよう。」
シンはゴミ箱にあった腐っているバナナをいじり見つめながら言った。
「やっぱり・・警察に言ったほうが手っ取り早いかな・・。」
ディビットは深く溜め息をつき意味深な顔つきをしいつもより渋い声でシンの肩を寄せ言った。
「あのな、こんなおとぎ話を誰が信じると思うんだ?イギリス地方ならまだ信じてもらえるかもしれない。でもな此処は大都会のニューヨーク。ドーナツをがっついている警察どもが大学生のおとぎ話を信じると思うか?
こーゆう事はな自分たちの手でどうにかするものなんだよ。お前だって昔はファンタジー小説をアンディと同じくらい読んでんなら解るはずだ。
おとぎ話は大人は誰も信じちゃくれないんだぜ?だからこの際俺らでこの冒険をじっくり楽しみそれから警察たちニューヨークの住人たちを驚かせてやろうじゃねぇか?
現実にしか生きない人間たちにさ!」
「ああ、お前の言う通りだよ。俺も現実に生き過ぎて忘れかけてたよ・・。でも忘れちゃいけない事ってこーゆう時にしっかりと出てくるものだ。
よっし、少し元気出てきた!絶対四人を見つけだそう!!」
「おう!」
シンとディビットはがっしりと手を組みにっと笑い四人を必ず探しだすと決意を誓った_____。

――――――――・・暗い洞窟で女は喘ぎ悲鳴を上げている。それを男は宙吊りにされながら助ける事ができずただ、涙ぐみながらその姿形を見届ける事しかできなかった。
男は呪文をかけるように何度も女の名前を呼んだ。
「サラ、サラ・・!・・・お前たちもう良い加減やめてくれ・・・・。
これ以上そんなサラの姿は・・・・。」
黒い小さい物体が低い声を出しながら言った。
「これは、ボス様からの命令なので。ボス様がお前達のどちらかが"ロータス・ワンド"を持っているというのだ。その"ロータス・ワンド"を出せば貴様らは此処からすぐ元の世界に戻れるのさ。」
「だからと言って、サラに暴力をふるうな・・。そいつは"シンの将来の奥さん"なんだぞ。だから・・・・。」
しかし物体は男の言葉を聞くと大声で笑い木刀のような物でまたサラの体を殴り続けた。
黒い物体は歯をむき出しその仲間と笑い嬉しげに言った。
「何だ?それはお前の"心"のどこかにある"嫉妬"という言葉なのか?人間たちは良く"嫉妬"をするとボス様にも聞いた。」
「違う・・・。俺は・・・そんな・・・・・。」
「リチャード・・・私の事は良いから・・・。あなただけでも今すぐそのロープを切ってここから逃げて。」
リチャードは不安げな表情でサラを見ると黒い物体はリチャードの前に顔をにたにたさせながら腰に手をやり偉そうに佇む。
リチャードは宙吊りにされながらも身を引っ込めた。
すると黒い物体はリチャードの腕についている太いロープをぱっと手で消したのだ。
リチャードは綺麗に床に落ちた。その次の瞬間、リチャードは淡い光に包まれるとその場から姿を消した。
リチャードを包んだその光はとても気持ちの良い光ではなかったのは確かだ。

((気持ち悪い・・・早く地上に降りないと・・・))

シンは路地裏でまた途方に暮れかかっていたその時、真っ暗な路地裏に淡い光がシンとディビットの目に映った。
二人はユウホウか?と思い二人で首を傾げその場を移動しようとした瞬間、シンは床にへばりついた。シンの体の上にどしっと重い感触が伝わった。
ディビットはその上に居る者を見て思わず叫ぶ。
「リチャード!!!?お前・・・どっから・・・・・。」
ディビットは眼鏡の端を掲げながら真っ黒な空とリチャードを交互に見た。
シンは唸り声を上げていた。
「イタタ・・・俺の上に乗っているのはリーなの?それなら本当に嬉しいんだけど・・
まさかエイリアンなリーではないよな?」
「違うよ・・・俺だよシン・・・。」
リチャードはにっと微笑みシンに抱きついたがリチャードの手と体は震えきっている。
そんなリチャードの体をシンはそっと撫で回す。
「リー・・・。」
シンとリチャードはしばらくその場で抱き合っていた_____________。


---------
ディビットは咳払いをし申し訳なさそうに口を開いた。
「おい、二人とも・・・。再会中の所悪いんだけど、マジに二人も探さないといけないんだけどな。」
シンは少し涙ぐんだ目を擦りリチャードからそっと離れた。
リチャードはシンの温もりで気分が少し落ち着いたようできょとんとした表情でシンとディビットを見上げた。
「?何の話?此処には二人だけ・・なんじゃないのか?」
シンは困った顔をしてディビットを見てからはぁと溜め息をつきながら言った。
「いや・・・実は・・・。アン(アンディ)とジェイコブも一緒だったんだ。」
「んで、俺らと別行動でお前達を探していたらはぐれたってわけ。あっちが確実に迷っていると思うけどな。」
ディビットが割り込み言い切った。リチャードは不安げな表情でシンを上目遣いで見つめるとシンはそっとリチャードの肩を撫で肩をくすめてからはにかんだ笑顔を見せ言った。
「大丈夫だって、アンは心配だけどジェイコブは強い奴だろ?何かあったらアイツがアンを守るって。」
「・・・お前はあんな黒い物体を見てないからそう言えるんだ。俺、二人も探しに行く。」
「ちょっ、落ち着けって。とりあえずはバーバラ達の元へ先に戻って、それから二人を探しに行こう。お前が居なくなってみんな相当心配してたんだから。」
ディビットはちらっとシンの顔を見た後にふっと笑った。シンは眉間にシワを寄せディビットを見た。
「何か言いたそうだな?」
「別に。ほら、それよか・・・いったんツリーハウスに戻ろうぜ?雲行き危ういし。」
「だな。」
シン達はいったんツリーハウスに戻る事になった。

その頃、ジェイコブとアンディは薄暗い地下室のような場所をただ突き進んでいた。
もう此処はニューヨーク街ではないとアンディは心の中で思っていた。暗くて空気が冷たい場所でジェイコブと喧嘩なんかしたくないという理由もあったが。
アンディはジェイコブの手をまだ握っていた事にようやく気がつくとアンディはその手を離した。ジェイコブはその反応に目をぱちぱちさせアンディを見た。
そしていつものジェイコブの顔に戻る。眉間にシワを寄せアンディが口を開くまで見つめている。
アンディは焦りながら言った。
「えっと・・・。早くここから出られるといいな・・・な?寒いし・・・。
みんなに会いたくな・・・っ。ちょ?ジェイコブ?」
アンディの体はジェイコブの体温に包まれいた。ジェイコブが鼻のてっぺんを赤くしながら鼻をすすると顔を背けながら言った。
「・・・温かいか?」
「は?」
「だーかーら、あったかいかって聞いてんだよ!頭良いならさっさと答えろ!!」
作品名:Magic a Load 作家名:悠華