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Magic a Load

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ニックはおっとりした口調で言った。
「ほら、落ち着けって。甘いもの食べて落ち着こう?な?」
「はあ?ふざけんな!!こんなみんながどうかしてんのにこんな場で甘いものなんかのんきに食ってられっかよ!!!もう一発コイツを!!」

「・・・ろよ・・・やめろよ!!!」
シンの怒鳴り声にみんなは目をぱちぱちさせシンを見つめた。

「今はそんな事をしている場合ではないだろ?・・。俺は俺でリーとサラを探す。お前らが探す気がないなら俺一人だけでもあの二人を探しに行く!!」
シンはみんなにそう言い残しツリーハウスを駆け出し出て行った。
「シン!!・・・ほら、みんなシンの後を追いましょう!あの子までいなくなったら・・・。」
不安げに話すバーバラの肩をディビットはそっと撫で微笑み頷くとみんなも行き先も解っていないシンの後を追った。
ニックとサラは頼りになるか解らない魔法ぐっつを手に持ちツリーハウスを後にした。


――――――・・・
リチャードは真っ暗な洞窟の中で宙吊り状態で薄っすらと目を開けた。
体中にとても変な激痛が走る。あたりはどんよりしていて壊れかけでくもの巣だらけの淡い光のランプがぼやけながら光っている。
そのランプは何度か点滅しながらも二人を照らしていた。
リチャードは横にいるサラに小声で呼びかける。
「おい、サラ。目覚ませよ、、生きてるだろ?おい、サラ。」
「・・・~ん・・・シン・・・なの?」
サラは色っぽい声を上げながら瞬きさせた目をゆっくりと開けた。
サラの言葉にリチャードは顔に眉間にシワを寄せながら少し残念そうな声で言った。
「悪かったな・・シンじゃなくって。・・というよりも此処、どこだ?」
「・・・さぁ・・・暗くてとても寒いわ・・・それしか解らない。ああ、後何かしらこの異臭は・・・。ジェイコブの運動の後と似ているわ・・。」
リチャードはサラの言葉に思わず噴出しそうになった。サラは思った以上に元気がある事を確信したから。ほっとしたのだ。
リチャードの結わっていた片方の手首の紐がその頃ちょうど解けかかりリチャードはその手を引っこ抜きポケットからiPhone5を手に取りシンに助けを呼ぶ事にした。

シンはリチャードとサラの目的地も解らずニューヨーク街の細道を走り回る。
シンの後を追ってきたのはディビットとアンディそして以外にもジェイコブまでついてきた。
いつもならすぐ喧嘩もっぱつなジェイコブとシンだがシンは今は喧嘩をする余裕もなくジェイコブの存在すら無視するほどシンの心は動揺していた。
シンは息を切らしながら暗い路地裏をリチャードとサラの名前を呼びながら駆け回っている。
ディビットはもう一人を心配していた。アンディだ。アンディは体もとても弱い。
ディビットはアンディにそっと声をかけた。
「大丈夫か・・・なんなら今ツリーハウスに戻ってバーバラたちと連絡を待っててもいいんだぞ?」
しかしディビットの言葉にアンディは顔を横に振った。
「ううん、こんな素敵な冒険を見逃すにはいかないんだからね!例え僕を苛めるジェイコブが傍にいたって僕は引き返さない!!いたっ!」
アンディは旋毛部分を両手で押さえ振り向いた。ジェイコブがはっと鼻を鳴らし言った。
「ばーか。んな酷い状況の中でお前を苛めるかっての。まぁ、この変な冒険とやらが終わった後はたーーっぷり苛めてやるけどな。」
ジェイコブははにかんだ笑いを見せる。アンディはその時、コイツは本当は良い奴ではないのかと・・・。今まで思いもしなかった事を思ってしまった。
アンディの頬は暗闇の路地裏でも赤く染まるのをディビットは見逃さなかった。ディビットは"仕方ねぇなぁ"という顔つきで二人を見つめた。
アンディはジェイコブを暫く見つめているとディビットは真っ暗な路地裏の通路の先に変な白い影がほんの一瞬だがすばやく走る姿が目に映った。
「・・なぁ、今・・・向こうで何か光らなかったか?」
動揺しながらアンディは答えた。
「え?そう・・・?何も見えなかったけど・・・ね、ジェイコブ?」
「おう。このくっさいゴミ箱しかないけど?あ。このバナナまだ食えそうじゃない?」
「ばっか、病気になっちゃうよ!!」
アンディは慌ててジェイコブの手を掴んだ。ディビットは首を傾げ目前を怪しむと二人にこう言った。
「なぁ、これからちょっと別れて探そう。集合場所はこのくさいゴミ箱の前な。戻ってこなかったらGPSで確認、またはバーバラたちに報告するよう。じゃ、俺はシンとリチャードとサラを探す!お前らにもまかした!!」
「え?あっ、ちょっと、そんな勝手に・・・。ディビット!!」
ディビットは走り去りながら手を振り二人の前から姿を消した。残された二人はさっきよりこの場に居るのがとても気味悪く感じていた。
アンディが赤い三日月を見てぼそっと呟く。
「ねぇ、ジェイコブ・・・此処ってこんなに気味悪るかったっけ?」
ジェイコブはいつも以上に低い声を出した。
「さぁ・・・どうだったかな・・・・・・・。」
ジェイコブはアンディの手をそっと取り握ると二人もその場からリチャードとサラを探り出す事にした。

――――――・・・・・・

暗闇の路地裏で無駄に明るい着信音が鳴り響いた。シンはその着信に体全体をビクつかせポケットに手を突っ込み携帯を手に取った。
携帯の着信の名前表示にシンは目を見開く。シンは心臓をバクンバクンと響かせその電話に答える。
声は相当震えていた。
「・・・はい・・・リー?リーなのか?無事なのか?何処にいる??」
涙声で話すシンにリチャードはくすくすと笑っていた。リチャードはそっと囁くように答えた。
「ああ。大丈夫・・今のところは・・。何処だかはさっぱり解らないんだけど。
暗くてえらい匂いが酷いところだ・・・。多分、洞窟だとは思うんだけど・・・。
気がついたら・・・・・」
「きゃぁっ!!!」
「・・・おいサラ?!てめぇ!!何すんだ・・・このっ!サラに触る!!!ぐぁっ・・」
「リチャード?!リチャード!!やっ。離ればなれにさせないで・・・あっ。・・・」

ツーツーツーツー・・・。

「おい!リー?サラ?!!・・・・・!!!!」
シンは後ろを振り返るとそこにディビットが暗闇の中で眼鏡を光らせ立っていた。
ディビットは顔をシンの前に突き出し不安げな表情で聞いた。
「どうした?」
「リーとサラが居たんだ!まだ生きてる!!!」
「本当か?そうだ、すぐアイツらに知らせないと!」
ディビットは携帯を取り出しジェイコブたちに電話をかけたが。

((現在、おかけになった電話番号は・・・))

「くそっ!・・・アイツらどこに・・・。」
「まさか、アイツらまで居なくなったとか・・・。」
「とりあえず探そう!!まだそう離れてないはずだ!とりあえずあのゴミ箱まで戻ってみよう。」
シンは頷きディビットと二人で集合場のゴミ箱へと向かった。

シンとディビットはくさいゴミ箱に向かったが二人の姿はなかった。ディビッドはちっと舌打ちをし親指の爪をガリガリと噛む。
ディビットは何か考え事をしている時は爪をガリガリと噛む癖があった。
シンはiPhone5を取り出しGPS機能で二人を探そうとしたがGPSの画面はふっと消え画面は真っ暗になった。
作品名:Magic a Load 作家名:悠華