うそつきうさぎ
村のほとんどがそこに集まっているというのに
はいいろうさぎの両親もそこに居るのに
はいいろうさぎは居ませんでした
「連れてきます」
不安そうな表情で、はいいろうさぎのお父さんが家に戻り
はいいろうさぎを連れて来ました
「何か知っている事があるのなら、正直に言いなさい」
お父さんの顔は、悲しそうで、つらそうで
はいいろうさぎはまっすぐにお父さんの顔を見る事が出来ません
「何か知ってるのか?」
大人の、それも村のリーダーのうさぎにそう怖い声で聞かれて
ももいろうさぎの姿を見て
正直に言うしかないと思ったはいいろうさぎ
「崖の裂け目にある花の事を話したんだ
薬草かも知れないって」
みなは口々にはいいろうさぎを怒鳴りました
はいいろうさぎの両親は、揃って謝る事しか出来ませんでした
はいいろうさぎは、泣く事も出来ずに
うつむいたまま、黙って全部を聞いていました
はいいろうさぎの両親は、もう村に住む事が
出来なくなりました
みなの目が冷たくなり、誰も口を聞いてくれなくなり
嫌がらせもされるようになりました
両親は、はいいろうさぎの事を
責めたりはせず、優しくしましたが
はいいろうさぎも、誰とも話さなくなりました
ももいろうさぎのお母さんは
お葬式の後から、具合が悪くなって
寝てばかりになってしまいました
その事が、村のみなからの嫌がらせを酷くさせました
そして、村を出て行くことにしました
みなに見つからないように、そっと引越しをしようとして
外に出た時に、はいいろうさぎは走り出しました