フェル・アルム刻記
§ 第一章 銀髪の少女
(落ちていく……)
(ちょっと無茶したよね……)
(「風」も助けを聞き入れてくれなかった)
(わたしの力だけじゃあ……もう……)
(……飛ぶのは……生きてかえるのは……)
(無理……よね……)
(……でも、絶対に……死にたくなんかない!)
少女は気付いた。
誰かが自分の体に触れる感じ。
膨大な量の何かが頭の中へと流れ込んでくる感じ。
そして見た。
まばゆい光の球が彼女の身体を中心に、外へ外へと膨らんでいくのを。
運命は廻りはじめる。
誰が意図することなく、自然に。