歴詩 集
安居神社の 一本松から望む 北の空
突き刺さる カルバリン砲が
ドーン…ドーンと 止むことはない
紀州九度山の いまわの際の父
昌幸は声を絞り出した
名顕ハレザレバ、良策ナリトモ用ヰラレズ
外より 城の中は その通りだった
父上!
しかれども弁丸は 無念ではありませぬ
戦国武将の 真田の名を守り通した、かと
いよいよ 三途の川の渡し賃
不惜身命の 六文銭を支払う時が 来し候
お主
西尾仁左衛門と申したな
覚悟はできた
さっ、この首を取って 手柄にされよ
幸村殿、よい旅立ちを
バサッ!
定めなき浮世にて候へば
一日先は知らざる事に候
我々事などは浮世にあるものとは
おぼしめし候まじく候
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