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昭和の旧車名車とともに 第一部

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カローラ スプリンター と美術教師

カローラ スプリンター、今の車しか知らない人が聞くと「何だそれっ」て思うかもしれませんね。初代カローラはファミリーカーの為2ドア4ドアセダンで売り出されましたが、それのファーストバッククーペとして2ドアで出たのがカローラスプリンター。その後カローラ、スプリンターは姉妹車となり、カローラはレビン、スプリンターはトレノがスポーツバージンになりその名残は今の86として残っています。

 中学校の玄関前「若い力」という名のモニュメントと職員室のある管理棟の間に白いカローラスプリンターが止まっていると、それはスポットライトでも当たっているかのように目立ちます。その持ち主は美術のK先生、一年の一学期は私の担任でしたが2学期から県へ派遣され別の先生が担任となる異常な人事異動。一年の担任を1学期で代えるな!ですよ。この先生は車と共に思い出が色々ありますがその一つは絵画と遠足です。

 私たちはある年遠足で琴平へ行きました。瀬戸大橋と国道32号線の父、大久保諶之丞の銅像前で当時の政治家の心意気を習い、その後琴平宮のくねくねと曲がる裏参道沿い降りて行き宝物館へ集合しますと、この美術教師が全員を前にここにある高橋由一の「とうふ」について解説を行いました。今は琴平宮に「高橋由一館」が出来そこで見ることが出来ますが昔はそんな建物ありません。
高橋由一といっても美術に興味の無い方は「誰やそれ?」といわれるでしょうが、身をざっくり切られ吊るされた新巻鮭の絵はご存知あるかも知れません。その由一の絵がここにあるというわけです。「いいか、このとうふの表現、また帳面の紙の表現をよくみなさい」というわけですが、当時さほど絵画に興味の無い私は「とうふねえ・・・・」表現といわれても興味も無くよく見もしませんでした。しかしその話を聞いたのは心の奥底のほうに仕舞われ、それが呼起こされたのは最近になってのこと。三女が高校卒業間際に伊藤若冲とともに由一を見に行ったこともありますが、やはりこの遠足の影響が大きかったと思われますし今では好きな画家の一人となっています。

さてこの先生のカローラスプリンターが毎日駐車されているわけですよ。自転車、徒歩、バイクが主流で今のように車通勤なんて少なく珍しいですからね。「現代美術が得意なK先生らしい車だな」と訳の分からない理由付けで校舎2階の音楽室から眺めていました。そしたらその近くで白煙が上がるではないですか!なにごとかと思ったら化学のK先生が持っていた薬品を落としそれが反応して煙が上がった。そんな薬品持ってうろうろする危なかしい時代です。
その隣に初代ライフも止まっていましたが、このオーナーの社会のO先生は大嫌いでしたね。恐らく今会っても当時のままでしょうし、会いたくも無いですけど。嫌いだけに覚えているのも嫌なもの。