昭和の旧車名車とともに 第一部
社会人になって買えばよかったのですが、旧車は1600GTがいつまでも居座り続け、買いそびれてしまいます。何度かこれを売ってSをと考えましたが「これはこれで目立つ」と訳の分からない自己満足で持ち続け、事故で廃車すると旧車は卒業したので縁がありませんでした。
SFはその後国道11号線沿い移転をしました。そこのメカニックたちがうちのお店に良く来てくれていて、そのチーフは白いホンダ1300 99のオーナーでした。それは良く整備され程度もよく、直線は狂ったようにすっ飛んで行きましたね。釣り好きの彼は高知まで良く釣に行ってたようで「高知まで○○時間でいける」と豪語していました。いつもその車で来るのに暫く見ないから「近頃99見ないですね」というと「あれ売った」というではないですか、ショックでした。
あの丸型2灯にメッシュのグリル、カクカクとした格好、4連のキャブ、それにぴかぴかの程度のよさ。知っていれば購入したのに、残念至極。
それから数十年時は流れ、とっくに旧車は卒業したはずなのに、どうしてもホンダスポーツを忘れることが出来ず数年前これが最後と、憧れ続けたこの小さなスポーツカーを購入しました。それは長い間恋焦がれた恋人に会ったようですが、恋人も随分歳をとりました。
この恋人、暫くはお互い同じ時を重ね楽しませてくれることでしょう。
作品名:昭和の旧車名車とともに 第一部 作家名:のすひろ