昭和の旧車名車とともに 第一部
幼心になんでこんなに違うだろうと、疑問が沸くわけです。それが分かるのにそう時間は掛かりませんでした。こんな車の記憶ははっきりとあるのに、とにかく父親が家にいた記憶は全くありません。当然遊んでもらう、何か買ってもらう、学校参観なんてとんでもない話。顔すら見たことないほど飲み歩いていましたから。
そりゃ外面はいいもんです「駅長、駅長」といわれてね。うちの中は最悪でした・・・・
その父と一度だけタクシーに乗った。車は20系のブルーバード、タクシー仕様だったと思うな、確か隣は母親で夜、街から帰っている時だったかな。母が天津甘栗を紙袋から一個栗を出してくれて「食べる」と聞くので「うん」と答え一個貰い皮をむきます。実は口の中へぽんと放り込み味わいましたが、皮が残ります。夜間です・・・外へ放っちゃえと左の窓へ投げるとカチンと音がして跳ね返ってきました。さすがまだ窓を開ける知恵までは付いていませんでした。
当時タクシーといえばブルーバードとコロナのBC戦争ですか!?
家の前の狭い道へ突っ込んで来たタクシー、線路際ですから坂になっています私が降りて車を出るのを待っていると泥と砂利の坂ですからザザッと滑り落ちました。運悪くタクシーはバックして左足甲を敷かれました。ありゃ痛かった!!
それから暫くしてマツダはロータリーエンジン搭載のコスモスポーツを出しましたが、幼い頃の記憶がありすぎたのか、コスモを見るとR360クーペが思い出されてしまいます。
今でも好きな車の一台に入ります。
作品名:昭和の旧車名車とともに 第一部 作家名:のすひろ