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八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加

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「綺麗にお金を稼ごうなんて、私は無理だと思います。だってお金って欲の塊、欲の権化でしょ?」
その言葉に反発したのは敏子だ。
「あなたそんなことないわよ、チャリティーがあるじゃない。あれは綺麗なお金の稼ぎ方でしょう」
さも自分がいつも寄付をしている慈善者であるかのような、それは勝ち誇ったような言い方だった。
「あの、チャリティーも金を集める事業でしょう?本当にお金を出そうと思う人はそのチャリティーと名がつかなくても寄付なりボランティアなりするんじゃないかしら。チャリティーというのは多くの人に賛同を得る呼びかけであって、実はお金はちゃんと動いているんですよ。それにその寄付するお金はやはりどこからか集めないといけないわけですよね」
それは当然な話である。チャリティー何とかと名前がつくのはその名前を使うと掛けたコスト以上に収益が見込めるからやるだけで、これが合わなければやる意味が無い。やるならそれは裏があるということだろう。たとえば路上で募金箱をもって募金を訴える。8時間やって8千円集まるなら自給1000円のバイトやってそれを寄付すれば同じ事、それ以上であるなら募金活動すればいい。勿論こんなことやってますよという啓蒙活動、PRはそれに含まれないがコストは同じということになる。ところがだ、人というのはそれがなかなか出来ないから厄介なのだ。
 人は一旦自分の財布には居るとたとえ100円であってもなかなか出せるものではない。絶えずコストに見合う価値がないとだせないのだ。
「みなさん、もしかして綺麗なお金があると思っていませんか?」
あゆみはまたみんなに聞いたが今度は敏子も口を出さないでいる。
「綺麗なお金なんてないと私は思います、元々お金は汚れているもの、欲の塊の象徴だと。それを綺麗に稼ごうとすること自体無理があるのではないかと思います」
それは静かな語りだった。
「汚いお金ならそれなりに汚れても手にし、それをいかに綺麗に使うかがその人のあり方ではないでしょうか?」
その言葉に誰も発言は無かった。あゆみは言葉を続けた。
「カーネギーホールやカーネギー財団と今では文化平和に貢献している財団がありますよね、名前は皆さんもご存知だとおもいますが、かの製鉄王カーネギーが私財を投じて作った財団です」
あゆみはとつとつと話をする、カーネギーはアメリカの事業家で当時鉄鋼王として名を馳せた。このカーネギーの鉄材は今赤坂迎賓館、元の赤坂離宮の屋根を支える鋼材として使われており、当時日本政府が特注で作らせたもので今でもその名を見ることが出来る。彼は製鉄所をはじめ鉄鋼関係で財を成すが、当然その裏で泣いたものは数知れずいるがその人たちの文句苦難はカーネギー財団という名前とその実績により薄められ消されてしまっている。