八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加
「そのカーネギーでさえ、製鉄所などで働く社員や地域は劣悪な環境や公害や低賃金に苦しめられましたが、後にその儲けた金で活動を行い、今では文化や平和活動の団体として皆さんも名前をご存知ですよね。お金ってそんなものではないですか?汚く稼いでも綺麗に使う、そうでないとやっていけないと私思います。だったらお金に見合うと思ってもらえ、行ってよかったと思えるイベントを企画して、満足して貰らい私たちはそれで活動すればいいんじゃないですか」
あゆみがそう説明しても誰も発言は無く、つまりこの会は会場の時間の関係でこの日は散会となり、この計画の話もその後なされることは無かった。この団体は年度末には資金がそこをつき、臨時総会を行った後解散となった。アルバイトで経理を担当していたあゆみは当然仕事をなくし、暫く専業主婦を行った後近くの工場で経理を担当するパートとして働き出した。
一方敏子は団体が解散後他の活動団体に所属し以前と同じようにやはり自分達の主義主張だけは大きな声で言っているそうだ。
世の中に綺麗なお金などあると思えない。あるのは浄財と名の打たれた綺麗に使う方法だけではないだろうか。汚いのを承知で金を稼ぐ、なんと言われようが金を稼ぎその金を無いところへ回してあげる、それが人の価値なんだろうと私は考える。
年収数百万円の人に、「三千円出して貰えば子どもたちのワクチンが買えるのですけど、出して貰えませんか?」と話をし、テーブルの上WFPから送られたカレンダーを立てておいた、さて何人が気が付くだろうと。勿論気づく人がいないのも承知でである。
数日するとそのカレンダーは邪魔になると横へ避けられ、また数ヵ月後ゴミ箱に捨てられた。それ程人は自分の身に降りかからないと金は出さないし危機感も持たない欲の塊で、そうそうマリア・テレサや中村哲、国境無き医師団のような人は存在しないのだ。
ではそういうことだから・・・今夜はパチンコでいっちょ稼いでみることにしようか。
作品名:八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加 作家名:のすひろ