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八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加

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「この団体は他にも付き合いがある団体や組織があるじゃないですか。だったらそこやそれ以外、一般の人も楽しめるイベント、たとえばコンサートとかこの辺では見られない劇だとか、確実なら吉本のお笑いとかそんなのを開いてお金を稼ぐようにしたらいいんじゃないでしょうか?」
彼女の話が終わっても場はシーンとして皆、手元の資料に目を落としているだけだった。それはどちらかというと関わりたくないという雰囲気にも思えた。
「あゆみさんの言うことは分かります、でもそれはこの団体の趣旨とは違うのではないかしら。私たちお金儲けでやっているのではありませんから」
やや強い口調でその静まった場を切り裂いたのは役員の敏子だった。彼女はいいところに勤務し夫の収入もあり、生活に困っていない女性である。お金はやることをやり、説明するとみんな出してくれると信じていた。
「でもこの際敏子さんのいうようなこと言っても現実にお金はそこをつきますが、どうします」
提案したあゆみは実際困って敏子に聞いた。
「そりゃお金を誰かに出して貰わないといけないわよね、やっぱりカンパかしら」
あゆみは誰に聞いても収入はカンパというのにいつも疑問を抱いていた。どうして自分達がお金になる事をしてはいけないのだろうと。
「あの、どうしてこの団体は自分達で収入を増やすこと考えないのですか?カンパもお金を増やすことでしょう?カンパは良くてイベントがいけないのかその理由が私には分からないのですけど」あゆみの率直な疑問だった。
それは当然である。お金にこれはカンパのお金とかこれは拾ったお金と記号がついているわけでも、種類が分かれているわけでもない。お金はお金なのだ。その問いに答えたのはやはり敏子だった。
「私たちの活動にそんな人お金を出させて楽しますような、企業のように収入を得る考えはありません」とぴしゃりと言い放つ。会に参加しているほかのメンバーはただ二人を傍観しているだけだった。
「あの、カンパは良くてイベントで収入増やすのがなぜいけないかが私には分からないのです。皆さんはどういったお考えなのですか?」
あゆみは他のメンバーの意見も聞いてみたくなりみんなにそう問うてみた。少し間があり言葉を切り出したのは唯一の男性の明だった。サラリーマンの彼は男女同権活動も盛んに行い、子育てや地域活動にも積極的に参加している。
「私が思うに、どうやら皆さんの中には綺麗にお金を稼ごうとしているように感じますね」
あゆみはその言葉を聞き、ようやく核心に触れることができたと感じ賛同者が現れたかと思った。
「そうでしょ、私もそう思います。皆さん団体が利益を得ることは罪悪に感じていると」
先ほどと違い分かって貰える人が現れたのが心強いのかあゆみは声が大きくなった。