八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加
人は変われる、私は馬鹿で助かった。
当時勤めていた会社、有名企業でありながら業績は最悪で、親会社から経営建て直しのため新役員が派遣された。この社長、相当な切れ者でありながら懐の深い人で、とても勉強になり育てて頂いた。この頃の私はというと、ただ気の強い若造で馬鹿の世間知らずだった。
ある時上司、部長、次長から近くの喫茶店に誘われコーヒーが運ばれると部長が切り出す。
「君はね、自分では気がついていないだろうが影響力が強い。だから自分の思うようにやりたいのなら自分でやればいい、でも会社はそうはいかん。良く考えてみてはどうだ」
やんわりといわれた。
この時自分が馬鹿でよかったなと思うのだが、辞めてくれて言われていることに気がつかなかった。気の強い若造だから、頭の中ではこの人たち何言ってんの。出向で数年すればまた本社勤務いい気なもんよ、としか考えられなかった訳だ。
それから数ヶ月、社長夕食会があった後帰宅中、馬鹿は馬鹿なりに考えた。なぜか分からないが神社の前を通る時、ふっと頭に浮かんできたというのだろう。
「今まで自分勝手なこと言うと、後輩はそれに着いて来た。果たしてそれでいいのだろうか?もしかして自分が変われば後輩たちも変わるのではないか?変わることは別段怖いものではない。他人はどうでもいい、まずは自分が行動を変えればいいのではないか?」
そう考えるとなぜか涙がボロボロでたのを今でもはっきり覚えて居る。
それから性格は一変した。勿論いい加減なところが全て無くなった訳ではなくプライベートではおねえちゃんを追っかけたりして、恥ずかしい限りではある。
考えが変わると、行動は変わる。
行動が変わるから結果も変わる
上司に言われた通りなのか、影響を受けている後輩、同僚も行動は変わり成績は当然良くなっていった。
数年後
「君が頑張ってくれているから良くなった、ありがとう」と社長に言われたが誉められる事を知らない私は素直に喜ぶことが出来ずよせばいいのに
「社長それ、嫌味ですか」言ったものだからまた社長に叱られた。
よく人は性格を変えることが出来ないと聞く。しかしそれは間違いだと経験上思う。変わるときには一瞬にして変れ、変ろうと思わなければ一生変ることは出来ない。
大切なのは変化しなければならないのだと思い恐れず行動することなのだ。
この無限の宇宙でさえ日々変化している、小さな人間が変化しないことなんてありえない。
作品名:八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加 作家名:のすひろ