八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加
キャリア
こんな内容をいったい誰が読むんだろうと思いながら書いているのだが、もしあなたが新卒者、既卒者であり、就職を目指しているのであれば何かの参考になるかもしれないので書いておこうと思う。
この国はなぜか卒業の数年の就職で一生を決めようとする。いつもこの時期になると不思議だな、ばかげているなと感じるのだが、仮にその人にそのほかの才能があったとしてもなかなかそれを認めず、何かの仕事やボランティア、はたまた旅行や遊びを通じてキャリアを積んでもこの国の企業はそれを簡単には受け入れられない。だから就活とその一年に躍起になり、お揃いのリクルートスーツを着てまるで宝くじでも当てるかのように会社を受け、受かると一生自分の願った仕事につけると訳も無く喜ぶ。
さて入社式も終え初期トレーニングも終わり配属となる。ある人は希望通りの部署へあるものは嫌な部署へ・・・希望の部署へ配属されたものは良かったと思い、希望していなかったものは何で俺はと嘆く。それが自分にあっているかとか、自分が本当に一生を掛けてやりたい仕事なのかなど関係なく仕事は進んでいく。それがこの新卒が入る企業なのである。別段それを否定はしないが、世の中は広い、自分には無限の可能性があるということを忘れないことだ。
あるとき私は知人とフィリピンのとある島へダイビングに行った。マニラからバスに揺られフェリーに乗り継ぎ、小船に乗り換えやっと着く島なのだが、欧米、特にドイツからの観光客が多いところだった。
砂浜に近い酒場でビールを飲んでいると、英語が聞こえてくるので目をやると、若い青年二人がビール瓶一本をテーブルの真ん中に置き、一人ずつグラスを目の前に討論らしき会話を行っていた。私は友人に尋ねた
「この人たち仕事もせずに、なにしているだろうね」
その友人も気になったのか二人のところへ行くと会話を始めた。
「彼達数ヶ月アジアを回り、もう二ヶ月フィリピンにいるそうで、このあと国に帰るらしい」そんなに長く仕事が休めるのかと気になり友人に話と彼は笑いながらこう答えた。
「それは違うのよ、彼たちはそうしてさまざまな国を回りそれを自分の経験、キャリアとして仕事に生かすんですよ。根本的に日本と違うから」その時なるほどと思った。
自分が勤めたい会社の前に、自分がやりたい仕事があり、そのためにさまざまなキャリアを積んでいく。自分で切り開き経験したもの体験したものは自分の宝となり仕事、生き方をも光らすことが出来る。
作品名:八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加 作家名:のすひろ