心の中の雨の音(詩集)
新プログラム
眠れぬ夜に一人
輾転反側しているうちに
どうやら眠っていたらしい
夢の中で何者かが私に
驚くべき事実を告げる
私は畏敬に打たれながら
宇宙の意思というものを知る
神はいない悪魔もいない
プログラムされた意思が
刻々と遺伝子に送られている
生命の誕生から256年ごとに
更新されたプログラムが送られてくる
それによって
地球のすべての生物が進化してきた
そして今回の更新は無く
新プログラムになるという
地中に住む動物が先に
草となって地上に芽をだすだろう
蔓性の植物が
根を引き抜き歩き出すだろう
昆虫はそのまま変わらない
爬虫類が動きを止め
土の中に頭をもぐりこませる
そして
足や尾が茎となり葉となる
野菜と呼ばれる植物が歩き出すだろう
ほ乳類も同じように
土に顔をもぐりこませ
足は幹となり枝別れし葉をつける
股間に花が咲きいずれ実をつけるだろう
どっしりと形容される樹木も
根を抜き倒れ四つ足となる
鳥類は急降下して地面に突き刺さり
あっという間に羽が葉になり
やがて花を咲かせるだろう
魚類は翼を持ち空中に飛び立つだろう
貝類は海底の砂の中から葉を出す
私も植物になるのだろう
この壮大な変化を
見ることの出来る者はいない
ただ宇宙の意思だけが
退屈しのぎに見ているかもしれない
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川