男性支配
そして先週、とうとう、時間がかかったけれど、とうとう、わたしは、ありったけの勇気で、彼に言うことができた。わたし、彼の目を見て、言ったのよ。
「あなたを誰よりも愛しているの。わたしとセックスして。」
もちろん、言葉を使わずに誘うことはできる。わたしだって、そこまでうぶじゃないのよ。でも、言葉にしたかった。
つださんはわたしを軽蔑しない。はしたないとも、淫乱だとも思わない。明日香、がんばったね、おめでとう、と言ってくれる。わたしは確信している。でも、やっぱり、恥ずかしい。
ねえ、わたしは、その夜のことを事細かく、全部あなたに伝えたいぐらいよ。でも、それは、彼との二人だけのプライベートなことだから、できない。
ただ、わたしは、生まれて初めてセックスしたような気がするの。
わたしは何の心配もなかった。とても安らいでいた。安らいで、快楽に身を任せた。
それからわたしは彼の胸に顔をうずめて、長いこと、声をあげて泣き続けたの。
彼は何もいわなかった。身動きさえせずに、ずっとわたしを泣かせてくれたの。
涙で彼の胸はびしょびしょになった。それを手でぬぐって、目を上げたら彼がわたしを見ていた。また涙があふれた。