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つだみつぐ
つだみつぐ
novelistID. 35940
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男性支配

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精神的な暴力、言葉による抑圧はこれよりはるかに大きな広がりを持ち、ほとんどすべての家庭に見られる。「女は黙ってろ」といわれた女は子どもに「子どもは黙ってなさい」と抑圧する。



「ちょっとちょっと、つださん、わたし、今まで、そんな家見たこともないわよ、ひどい事いうのね。」
「はあ、例えば夫に『誰のおかげで飯が食えるとおもってんだ』とか、言われたことはないですか?」
「うちの主人はそんなこという人じゃありません!」
「今、『主人』って言いましたよね。」
「それがなんなんですか。」
「あなたは戦争や差別に反対ですか?」
「あたりまえでしょ、どこに賛成する人がいますか。若いときはそんな集会に出たこともあるわよ。」
「子どもに『男らしくしなさい』とか、言ったことは?」
「あのね、わたし、けっこう一生懸命子育てしてるの。毎日言ってるわよ。」
「そうですか。『男らしく』って、元気に活発に、『女らしく』って、しとやかでかわいらしく、とか、そんな意味ですよね。しとやか、って、反抗しないことですよね、かわいらしく、って、男の気を引いて男の庇護を受けるようにですよね。そして男には元気で活発に、って、これってそのまま支配と隷属のことですよね。
あなたは毎日一生懸命、支配と隷属を作り上げているんですよ。そして彼らが大人になって、支配と隷属に満ちた社会を引き継ぐんですよ。あなたの家の中でイラク戦争が準備されているんですよ。戦争に反対しているはずのあなた自身によって。」



でたらめばかりの保守主義者の主張の中で唯一わたしが賛同する主張がある。
「家庭は国家の基である。」

作品名:男性支配 作家名:つだみつぐ