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「舞台裏の仲間たち」 25~26

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 石川さんが、そんな茜の話を聞いているうちに、
ふと、いつか聞いた覚えのある文学青年の逸話を思い出しました。
ここ数年間は所在が不明のままでしたが、つい最近、
文学同好会のメンバーから、その『彼』が舞い戻ってきたという
噂を聞いた覚えがあります。


 「いるよ、ひとりだけ。
 君の実家の近所で、なでしこという私立の認可保育園があるだろう、
 そこに、レイコさんという君よりも、
 2歳年下の保母さんがいる。
 その長年の恋人と言うのが、最近舞い戻ってきたという噂を聴いた。
 そいつも、とびっきりの文学青年で、
 10年前にも、すでに座長が目をつけていた男だ。
 そいつは中学生だったくせに、市立図書館に入り浸っては
 文学書ばかりを読み漁っていたそうだ。
 なんでそんなに熱心に通ってくるんだって座長が聞いたら
 中学の図書館には、定番の文学書しか置いてないし、
 第一、全部読み終わったしまったから、
 此処に来ていると言ったそうだ。
 読書量もさることながら、餓鬼のくせに
 みょうに大人びていて洒落た早熟な文章を書くと、座長が褒めていたが
 最近、そいつが桐生に戻ってきたらしい。」


 「なでしこって、最近に認可がおりたという
 例の私立保育園の、あれ?。」


 「そうだよ。
 なんでもそこに、女子高同級生の四天王という
 女の子たちの4人組が居て、
 その人たちを中心に、やたら元気で頑張っているという話だ。
 レイコさんもそこの一人だと言うんだけど、それ以上のことは、
 私にもよくは解らない。
 桐生に戻ったら本気で探してみるか・・・
 彼ならば、君の希望をかなえてくれるかの知れないな。」


 「あら、手伝ってくれるの?
  無駄骨になるかもしれない、茜の夢のために。」


 「当然だろう、
 夢は実現するために見るものさ。
 実現への可能性が、たとえひとかけらでもあれば、
 頑張るだけの価値は当然にある。
 第一、この先で大手を振って君を実家に迎えに行くためにも、
 どうしても、片付けておかなければならない問題だろう。
 脚本家の一人くらい見つけくるくらいはおやすいご用だ、
 なんとかしてくるよ、
 君にためにも。」