「舞台裏の仲間たち」 16~18
アイラブ桐生Ⅲ・「舞台裏の仲間たち」(18)
第四章(3)碌山美術館
「若い方たちは、ほんとうに仲がおよろしいですね、
最前より、おじいちゃんと、
若かりし頃がたいへんに懐かしいわねと、
眺めておりました。
はい、お嬢ちゃん。
安曇野の焚火で出来上がったばかりの
おイモさんです。
よかったら、どうぞ。」
突然、水音がして薄いもやの中から、
大きな毛糸の作業帽子をかぶった初老のご婦人が、
新聞紙の包みを持って現れました。
わさび田の住人で、早い時間からもう出荷の準備にやってきたそうです。
ちょうどたった今から、休憩と朝食をとり始めたところです、と
にこやかに笑いました。
作品名:「舞台裏の仲間たち」 16~18 作家名:落合順平