「舞台裏の仲間たち」 16~18
数多くの美術館や資料館、記念館なども点在をしており、
美術館巡りを楽しむことができるほか、小さく個性的な喫茶店や蕎麦屋、
レストラン、宿なども多く見ることができます。
結局、そのまま茜のアパートへと寄り込み、
やけに大きな荷物を抱えた茜を乗せて、一路、
深夜の国道を、安曇野へ向かって走る羽目になってしましました。
「なあ、気のせいだと思うけど、
前回も恐らく、こんな展開で、夜道を走った記憶があるけれど、
それって、ただの気のせいかなぁ・・・。」
「うん。前回と似ている部分はあるけれど、
事情は、全く異なるわ。
第一に、あなたは全然酔っていないし、最初から運転をしてくれている。
第二に、私のシャネルはNo・19に変ったし、
ましてや、妊娠などもしていない。
第三に、前回は海に向かったけど、今回は山へと向かっているわ。
第四に・・・どうするの、もっと理由が聞きたい?。」
「もう、充分に結構です。
でさぁ、どうする?
国道18号をひたすら走って、千曲市あたりから回り込むと、
夜明けには安曇野へ到着をすると思うけど、
少し、早すぎないかい?。」
「あら、それって、・・・もしかしたら、
その辺の、モーテルで一泊しようと誘っている訳なの?
私なら、全然それでもかまいません。
心の準備ならとっくに出来ていますので。」
「まいったなぁ・・・」
「ねぁ、・・・
眠いでしょうけど、
朝一番に到着をして、日本アルプスの夜明けなんかを
じっくりと、見てみたいわね。
そのあとで、ゆっくりと一休みをしましょうよ。」
茜が、「ゆっくり」という部分に、
妙にアクセントをつけ、意味深な含みまでも持たせました。
苦笑しながらそのまま茜の言葉を受け流し、もう覚悟を決めて、
夜通しの運転モードに頭を切り替えました。
ダッシュボードへ手を伸ばし
煙草の箱を取り出そうとしました。
新しい箱を手探りの末に捕まえて、持ち上げたところで、
待ちかまえていた茜に、すぱっと横どりをされてしまいました。
「あれ以来、私は煙草はやめました。
すこしは反省をするという意味もあるけれど、
やっぱり、煙草はよくないわ。
あなたにも止めろとは言いいませんが、できたら、
この旅行中は、あなたも煙草は止めてくださいね。
突然すぎるお願いで、申し訳ないけど。」
「我慢をしろと?」
「我慢が出来たら、ご褒美に
私のすべてをあげるけど、それでどうかしら、?」
「あのなぁ・・・」
作品名:「舞台裏の仲間たち」 16~18 作家名:落合順平