And Then ~すべては、そこから…~
「彼女ですか?いや、奥さん?」
徳野が席に戻るなり、あすかが興味津々な顔で尋ねてきた。
「あ……、彼女……」
そう呟いて、徳野は箸を取り残りのお茶漬けを口にする。
「ラブラブで、いいな〜」
あすかの言葉に、徳野が咽(むせ)そうになった。
「い、いや、そ、そんなんじゃ……ないよ……」
「ホント?」
「ほ、本当に……」
じゃぁ〜、とあすかが何かを言おうとしたところに、今度はあすかの携帯が鳴る。
ごめんなさい、と言ってあすかが席を外した。
徳野は、あすかのいないうちに急いでお茶漬けを平らげた。
お酒もあと一口でなくなる。徳野は御代わりをするかどうかを迷った。
もう少し飲みたい気もする。でも、そうなればまたあすかと会話をすることになる。
けれど、あすかは話しやすいタイプで別にイヤな気はしなかった。
それに、こんな自分に話し掛けてきてくれたのだ。嬉しくないわけがない。
けれど―――。
作品名:And Then ~すべては、そこから…~ 作家名:ミホ