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ゾンビ・ウォーク

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俺はそれから街中を走り回った。その間にも、ゾンビ出現の音は鳴り続けた。気が付くと、画面には10匹以上のゾンビが俺に向かって移動して来る状態になっていた。俺は、マニュアルの文章を思い出していた。
「隠れてもだめだ。目的地に着いてミッションをクリアしない限り、ゾンビはあなたを追い続ける。」
 ―― そうだ、この状況を抜け出すには、目的地にたどり着くしかない。
俺は覚悟を決めた。改めてスマホのマップを見る。目的地の中学校に続く全ての道にゾンビがいる。俺は絶望感に耐えながら、さらにマップを食い入るように見ながら、中学校にたどり着く方法を必死で考えた。
中学校に続く道の中で、一番大きな道は片側2車線の国道だった。今いるところからすぐに国道に出ることができる。しかし、この国道にもゾンビがいた。俺は何度か遭遇したゾンビの動きを思い浮かべた。動きはかなり鈍く、走ることもできないようだった。
俺は確信した。片側2車線の広い国道なら、ゾンビがいても横をすり抜けられる。
 ―― これならいける!
俺は決心して、そのまま国道に出た。向こうから、ふらふらとゾンビが歩いて来るのが見える。スマホの警告音が夜の国道に鳴り響く。
 ―― 今夜に限って、どうして車がぜんぜん通らないのだろう。
俺は疑問と共にかすかな胸騒ぎを覚えた。しかし、行くしかない。俺はゾンビに向かって速足で近づいた。大きくなるスマホの警告音と共に、ゾンビの姿がだんだんと近づいて来る。
 ―― 20メートル、15メートル、まだまだ我慢だ。
 ―― 10メートル、もう少し。
 ―― 7メートル、まだ我慢だ。5メートル、そろそろか。 
そしてゾンビが目の前3メートルまで近づいた時、俺は踏み込んだ右足を思い切り左側に蹴り出し、そのままダッシュでゾンビの右横を駆け抜けた。
 ―― やった! このまま数百メートルで中学校だ!
俺は走りながら心の中でガッツポーズを決めた。さっきのゾンビはもうずっと後ろで、追い付かれる心配はない。しかし、その時スマホから低い音が鳴り響いた。急いで画面を見ると、たくさんの赤い人影が行く手に現れていた。前方に目をやると、国道の街灯に照らされていくつもの影を引きずった大量のゾンビの群れが現れるところだった。これほどの数では、横をすり抜けることなど絶対に無理だった。
作品名:ゾンビ・ウォーク 作家名:sirius2014