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エイユウの話 ~秋~

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 その日から二人は様々な作戦を練ってきた。四人が廊下で会ったときに長々と話してみたり、手が空いたときに相手のところへ連れて行き、作業を手伝わせたりもした。が、関係は改善するどころか、長い長い膠着(こうちゃく)状態にある現実を思い知るだけだった。
 いつも自信にあふれ、肯定的な考えが八割を占めているキサカも、ここまで来ると少し自信をなくすというものだ。つい思考がマイナスになる。
「本当に仲直りなんか出来るのか?あいつら」
「できます!」
 逆にいつも自信の無かったアウリーが、自信満々に肯定した。その大きな変化には、未だによく驚かされる。思わず根拠を聞いてみると、おそらく父の真似であろうポーズをする。あまりピンとこない格好だが、彼女の中のイメージがこうなのだろう。
「『人と人とは、ほんの少しのつながりさえあれば、元の関係に戻ることが出来る』って、お父さんが言っていました。私たちが諦めない以上、二人のつながりが切れることはありません!」
 さすがは導師、言うことが違う。彼は自分の若さを思い直す。アウリーが年下だということは知り合う前から知っていたが、自分だって三つも違わないのだと再認識した。まだまだ青い、諭される側の存在だ。
 キサカは大きく息を吐いてから、頬をパンと叩いた。励まされている場合ではない。年下だと知っていたのに、なんてざまだ。もっとしっかりしなくては。そう気合を入れて向き直った。
「そうだな。よし、今日は思い切って昼食にでも誘ってみっか!」
「はい!」
 中庭で「おー」と気持ちを高めてから、それぞれ目的の人物を探しに歩き出した。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷