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エイユウの話 ~秋~

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「目ぇ覚めたわ。ちょい行ってくる」
 人波をかき分けて、彼女の行ったほうに向かって駆けていった。

 残された二人は、人混みの隙間に器用に消えていった背中を見送る。その背中を押したキースの行為に、アウリーはそっと疑問を抱いた。それはすぐに本人にばれる。殴られたつむじを押さえながら、彼は笑った。
「彼が彼女にほれることはないよ。きっと彼は、彼女が自分のことを好きになった理由にも、すぐ気付くから」
 聡明すぎるその頭脳に、アウリーはついていけなかった。そんな中、二人の元にある人物が来た。珍獣ジャックである。彼は人混みの中を掻き分けてくると、座り込んだままのキースに気付かないまま、アウリーに声をかけた。
「あの・・・後夜祭、相手いますか?」
 友人が少ないからといって、噂話に疎いということはない。彼女だって噂話を豊富に扱う「女の子」なのだ。さらに後夜祭の噂だって、なかなか広まってしまっている。アウリーはここで承諾していいものかと頭を悩ませた。好きな人の前で承諾したくないけれど、そんな都合で断って相手を傷つけるのも気がひけてしまう。不意にキースがジャックの肩をぽんと叩いた。女性的な面立ちの美少年の微笑みに、ジャックは同性ながら思わず見とれる。
 そんな彼に、キースはアウリーの代わりに優しく言った。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷