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エイユウの話 ~秋~

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 閑話休題しよう。
 しばらくぎゃあぎゃあとわめいていた二人は、互いに荒く呼吸をする。告白後とは思えないにらみ合いをして、数分がたった。
「・・・で、どう思うわけ?」
「どうもこうもあるわけねぇだろ。俺にとってお前は『キースの好きな奴』なんだよ!」
 キースの思いをばらしてしまったことにあとから気付いたキサカは、思わず口を抑えた。が、ラジィはその言葉を拾うことはない。彼女の感情が、そこにたどり着く前の段階で止まっていたからだ。
「・・・そんなの、ただの遠慮だわ」
 ぼそっとつぶやくと、彼女そのまま走ってどっかへ行ってしまった。キサカがあわてて呼び止めたのだが、振り返ることは無い。手を伸ばしたままという恥ずかしい格好で固まった彼も、追いかけては行けなかった。
「・・・ああ、面倒くせぇ」
 ため息の反動と共に、広葉樹にもたれかかった。

 キースの好みについて、アウリーは頭を悩ませていた。目の前にあるのはお面屋で、キースに似合いそうなものを探していたのだ。お面屋といえど、頭につける面白カチューシャなども置いてあって、悩むのも無理がない店である。
 二十分も同じ店の前で悩み、結局お面を一つ買うことにした。袋を渡されるのと同時に、お金を渡す。すると背後から唐突に声がかかった。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷