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エイユウの話 ~秋~

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「好きに決まってるでしょ!」
「大差ないじゃねぇか!」
「友達としてじゃないわよ!」
「は・・・」
 言った本人よりも早く、意外にもキサカの顔が真っ赤になった。すでに日は入っていて、夕日のせいと言うには少し遅いだろう。さっきまであんなにうるさかったはずの祭の音量が、ぐっと下がった気がした。言われた方が早々と赤くなったせいで、言った方は存外平静でいられる。純粋にぽかんとしていただけ、というのが妥当かもしれない。
 顔が赤いまま混乱しているキサカに、ラジィは思わずこぼした。
「・・・もしかしてあんた、こういうの初めてなわけ?」
 皮肉に満ち溢れた性格と言動を抜けば、彼はそれなりに整った外見をしている。まあ、男臭い顔ではあるので、世間に言う「美男子」とは程遠いけれど。だから、まさか初めてだとは思わなかったのだ。そんな心中も考えず、当然のことのように言う。
「初めてに決まってんだろ!」
「嘘でしょ!十七、八の男子が告白初体験なんて」
「十五で告白が早ぇんだっつーの!」
 ついでに言うが、ここは法師養成学校の中でもかなり敷居の高い学校である。そのため、入学に何年もかかるのは当たり前の話で、本来十五から入学資格があれど、ラジィやキースのようにその歳に入学できるものはそういない。そのため、キサカの年齢が十七で、ラジィたちより二つ上でもおかしいことではないのだ。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷