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エイユウの話 ~秋~

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「俺だってナルシストじゃねぇっつの」
「ナルシストって言うとなんか違う気がするんだけど、自己愛的性質は強いほうだと思ってたわ」
 キサカの言動も、行為も堂々としていて、とても自分が嫌いな人間が行えるものではないと感じていた。しかし、彼自身はその考えを持ってはいないらしい。
「結局自惚れてんじゃねぇの」
「自信家は自惚れてなんぼでしょ」
「自信家じゃねぇっつの」
 広葉樹の下に座り込んで、ため息をつきながら、カラカラと彼は笑う。そんな様子に好感を覚えながらも、恐怖心を抱いた。少し震える声で尋ねる。
「じゃあ、あたしは?」
「なんだよ、さっきから」
「いいじゃない。ついでよ、つ・い・で」
 そういうと、キサカは真面目に考え始めた。そして口を開く。
「友達じゃね?」
「アウリーと同じ?」
「くどい」
 疎ましげに見てくるラジィを、あきれた目つきでキサカは見る。ただの疑問を「くどい」と否定的な言葉で一蹴され、不満をあらわに体ごと向き直った。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷