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エイユウの話 ~秋~

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「じゃあ、キートワース、知ってる?」
 キースの本名をぱっと言われ、いつも愛称で呼ぶアウリーは混乱した。すると解らなかったと思ったのか、謝ってから言い直す。
「魔禍の喚使(まか・の・かんし)、解る?」
「解りますけど、なん・・・」
 言いかけたところで気付いた。黒い帽子を被っているが、そこからはみ出ている毛は、綺麗な金色だ。それで一つの推測がつく。
「・・・もしかして、昨年の緑(りょく)の最高術師の方ですか?」
 かなり当てずっぽうだったのだが、それは正解だったらしく、ぴたりと動きを止める。たぶん驚いたのだろうけれど、あまりにも小さな変化で傍目には解らなかった。
「え、何で解った?」
「金色の髪が見えたので・・・」
 どんなに人の出入りが激しかろうと、ジャームが来ることでも無ければ、金色は目にかかれない。そしてジャームがこの学園に来ることは、たとえ万人の入れる秋祭り期間といえど、ありえなかった。そのため、推測もしやすかったのである。しかし染髪をやめたとキサカから聞いてはいたものの、キース以外の金髪はなんだか違和感を抱いた。
「キース君はここじゃないですよ」
「解ってるって。そうじゃなくて、次高術師の子は?」
「ラジィですか?いますよ」
「どの子?」
 そう聞かれると、教えていいものかと少し悩んだ。しかし、彼は緑の術師のラジィにとって先輩にあたる。金色の髪や情報量から言って嘘ではなさそうだし、大丈夫と判断して教えた。
「あの、十五番テーブルにいる・・・」
 テーブルの上に大きく「十五」と書かれた看板が立っているので、誰にでも十五番テーブルが解る。そこではラジィがお客さんから注文をとっていた。珍しく後ろに髪の毛をひっつめているので、少し雰囲気が違うように見える。もう一度確認がてら尋ね返してきた。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷