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エイユウの話 ~秋~

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 そんなやり取りも露知らず、キースとアウリーは盛り上がっていた。
「じゃあ、今回の喫茶のテーマは光なんだ?」
「はい。電気をつけなくてもいい工夫をしてるんです」
「日光とか・・・、ああ、明の魔術とか?」
「鏡とかの反射も利用してるんですよ」
「へぇ・・・!それは綺麗なんだろうね」
「まだ出来てないんですけどね。キース君のところは?」
「屋台はもう少しだよ」
「何屋さんですか?」
「ザルピッツ・・・て言って解る?」
「はい。お饅頭みたいなやつですよね」
「そう。学生が作るものだから、『ぽいもの』だけどね」
 お互いの情報を交換しているうちに、闘技場に地の導師が姿を現した。説明会開始の合図である。
 すると先ほどまでの騒がしさが嘘のように、すっと静まりかえった。メモの準備が始まったのだ。ちなみに作業場に寄っていない彼らには、メモする義務はない。おかげで気軽に話を聞く体勢に入った。
 今回は秋祭りの説明くらいしかない。そして、秋祭りのルールはあまり細かいことはなく、秋祭り開催前に先輩たちや導師たちから情報を得ているのが普通だ。つまり、ここで詳しく説明する必要はない。そのため大雑把な説明を終えると、地の導師はさっさと下がった。そして入れ替わりに一人の生徒が出てくる。ノーマンだ。本当に顔が利くらしい。地の術師たちがしずしずとマイクを渡す。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷