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エイユウの話 ~秋~

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「キサカ、なんか機嫌悪い?」
 エメラルドグリーンの瞳が、不安で曇っていた。彼が女の子だったら、何人もの男子が言い寄ってきたんだろうに。ましてやイジメなんてことも、まったくなかっただろう。並みの男子なら間違えてときめいてしまいそうな表情だが、キサカは平然とただ驚いた。
「は?何でだ?」
「いや、眉間にしわ寄せたまま、黙々と食事してるもんだから・・・」
 言われて眉間を触ってみると、言われた通りしわが寄っていた。口もへの字になっていたようで、なるほど確かに不機嫌に見える。眉間を元に戻しながら答えた。
「ああ、悪ぃ。機嫌は本当に何も悪くねぇよ」
 安心させてから、考えの元凶となった人の話題に触れる。
「そういや、お前、どう思ったよ、あの人のこと」
「・・・あの人?」
「緑の金糸雀、非人の緑者、ノーマン・ネージストだよ」
 順々に名前を挙げていくと、見る見るうちに考え込む顔つきになった。ノーマンの話題は、人の眉間にしわを寄せさせる効果があるらしい。腕を組んで、うなりながら顔が下がっていく。真面目な彼には、あのいい加減さは疑問の多いところだっただろう。
 しばらく経ってから、キースは顔を上げた。眉間のしわは消え、あっさりとした表情に戻っている。しかし絞り出されたのは、考え込んだにもかかわらず、なんとも抽象的な言葉だった。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷