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エイユウの話 ~秋~

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 その情報はもちろん届かず、ドタキャンしたというのが正しい結果になった。食堂に着いたキサカは、女子二人を探す。が、もちろんその姿は無い。彼が聡くて、すぐに誘うことに失敗したのだと解ってくれたのが幸いだ。
 作戦失敗に嘆息すると、何も知らないキースから声がかかった。
「僕、秋祭りの準備期間って好きだな」
「準備期間が?普通は祭の最中だろ?あ、でも経験無しか」
 作った平静から本気の驚きに転じた表情に、キースは笑みをこぼした。彼にとっては、そんなに驚かれることでなかったからだ。
「準備期間中は誰も気にしないでしょう?僕が金髪だって」
 言われてから気が付いた。二人が座ったときは誰もいなかったのに、今、周囲に空いている席はない。この時期は、それこそ昼食を抜いたり、買出しついでに外で食べたりと、食堂を使う術師の数も減る。しかし金髪を気にして近くに座らないなんて者は、誰一人としていなかったのだ。
 正直に言えば、卒業資格所持者も参加するこの秋祭り期間内に金髪差別なんてすれば、ノーマン・ネージストから鉄拳が飛んでくることが目に見えているということもある。事実彼の在学中に金髪差別をした者は、かたっぱしから何らかの制裁が加えられていたことを、去年からいるキサカは知っている。
 それほど印象強い人でも、姿を見ないだけで皆すぐに元の対応をするのだから、困ったものだ。キースが卒業するまで、彼が通ってくれると楽なのだが。
 ご飯を食べながらそんなことを考えていると、キースが恐る恐る聞いてきた。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷