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Neverending Story

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「これ、今日の予定。そして、これが明日の予定。浩ちゃん、まだいられるんよね?」

そう言われ、唯に手渡されたスケジュール。

尾道に来て、三日目が経った。

予定では、今日北海道に帰るつもりでいた。

けれど、昨日別れ際に唯が、明日も駅で待ってるね、と言って、高瀬が断る間もなくさっさと帰っていってしまったのだ。

本当は無視をして帰ることも出来た。

けれど、それを出来ないのが高瀬の弱いところでもある。

「君は今日、仕事はいいのかい?そんなにズル休みをしたら、会社クビになっちゃうんじゃないのかい?それに、こんなおじさんにわざわざ付き合って貰うのも、なんか申し訳ないし……」

高瀬は、やんわり断って昼にでもここを出るつもりでいた。

しかし、逆にそれが唯の使命感に火をつけたらしい。

「いいの、いいの。気にしないで。だって、尾道のいいところ、もっと知って貰いたいんやもん。それとも、何?アタシ、邪魔?」

いやいや、そんなことは……。

と高瀬は慌てて首を振った。

なら、決まりね。

と言って無邪気に笑う唯に、高瀬は小さく頷く。

本心、高瀬も唯のことは嫌いじゃなかった。

勿論、愛とか、恋とかの感情ではない。

もっと別な物であって、親近者に対する愛情に近いものなのだろう。

もっとも、相手は自分をどう思っているかは分からないが、高瀬は昨日一日中唯と一緒にいて楽しかったのは事実。

だから、このまま何も言わずに帰ってしまうのも気が引けたのである。

「ねぇねぇ、早く行かないと、船が行っちゃうよぉ〜?」

と言って、唯が高瀬の手を握った。

あっ?あぁ…。そうだな。

高瀬は呟くように言い、唯に連れられるように歩く。

女性と手を握る行為は、いつぶりのことだろう。

年甲斐もなく照れる自分と、体裁を考える自分。

どちらも居心地が悪い。

それなのに、もっと唯といたくなるのはどうしてだろう―――。


作品名:Neverending Story 作家名:ミホ