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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy1~プロローグ~

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プロローグ1-2


シー兄ちゃんと過ごした最後の日を僕は今でも鮮明に覚えている。
まだ、レーニスが亡くなって間もない頃の事だった。
シー兄ちゃんが住んでいる石造りの小屋で、僕とシー兄ちゃんは喪服姿のまま、ただただ何も話さず過ごしていた。僕は心細かった。シー兄ちゃんもそれを知ってか、傍から離れずに居続けていてくれた。けれども、シー兄ちゃんは、神殿に呼び出されてしまい、僕はシー兄ちゃんを見送らなければいけなかった。

僕はシー兄ちゃんを見送った。離れていくシー兄ちゃんの姿を見送っていると、僕はふとシー兄ちゃんが2度と戻ってこない気がした。

青い空と草木は鮮やかで綺麗すぎて、背中を丸め、のそのそ歩いているシー兄ちゃんの背中は、異質なものに映った。
「シー兄ちゃん!」
 僕は思わず必死になってシー兄ちゃんを呼び止めた。シー兄ちゃんは、僕に気づいて、振り返ってくれた。
(いかないで!)
 僕は慌てて駆けっていき、シー兄ちゃんの胸に飛び込んだ。
「ユクス、泣いているじゃないか?」
 シー兄ちゃんは心配そうに僕を見ると、抱き寄せてくれた。シー兄ちゃんの温かい体に包まれると、僕は安心していくのを感じた。
「ごめんなさい。何でもない!」
 僕は、シー兄ちゃんの腕から身体を離し、一生懸命、涙を拭った。
「レーニスがいなくなって不安だよな…。」
 そんな僕の様子を見るとシー兄ちゃんは困ったように、僕の頭を撫でた。