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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy1~プロローグ~

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 デメテルは、キュオネを抱いている手を片方空けるとキロの腕をそっと包んだ。キロは少し俯き、観念をした。
「分かったよ…。うまく利用された感じがして気に入らないけどな…。」
 キロは、溜息まじりにそういうとその赤ん坊を見つめた。赤ん坊はうとうとし始めていた。
「まあ…、確かにその赤ん坊の髪の色は、あたしが愛した男に似てなくもない気がする。それに免じて考えてやるよ。」
「ありがとうございます。」
 デメテルは、頭を下げた。
「まだ、こいつが私の息子シーの子供だとは信じないけどな!」
キロは、そんなデメテルの様子を見ると、忌々しそうに言った。
「信じてください。私は168年間娘のように可愛がっていたレーニスを失って、笑うことも満足に出来ません。彼女の娘であるこの子を育てる気力がありません。すみませんが、宜しくお願いします。」
 キロは、まだ疑っていたので、その真意を見極めようと、デメテルをじっと見つめ、聞いた。
「これは何の罰だい?」
そんなキロの問いかけに、デメテルは一旦キュオネを床に下すとキロの鎖を伸ばしながら言った。
「罰ではありません、チャンスです。」
 ある程度の長さに鎖を調整すると、デメテルはキュオネを抱き上げ、キロに差し出した。キロは、それをガラスか何か壊れやすい物を扱うように慎重に受け取った。
 キロは不審そうにデメテルを見たが、どうやらデメテルの様子を見るに、彼女は本当にキロにお願いをしているようであった。
「この子が14歳になったときに、貴方を大切にするのであれば、あなたを釈放しましょう。」
 デメテルは言った。

 こうして、キュオネは14歳の今日まで、キロの元で育てられた。