小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

After Tragedy1~プロローグ~

INDEX|12ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 
 
キロは言った。彼女が捕まってからの約17年分もの悲しみを吐き出すように泣き叫んだ。
「もう死なせてよ!本当に無理!!!なぜ、あたしだけ処刑されないの!?嫌がらせ!?」
 デメテルは茫然とその光景を眺めたが、彼女の精神状態もレーニスの死から間もなく、何処かまともではなかったので、キュオネを連れて去るようなそぶりは見せなかった。キュオネは、びっくりして始終泣いていた。デメテルは、そんなキュオネの様子も一切気にも留めない。
 数分に渡る長い沈黙が続いた。
 キロの荒い息使いとキュオネの泣き声だけが暗い牢屋内に響き渡っていた。

「そんなに死にたいんですか?」
 口を最初に開いたのはデメテルだった。
 泣き疲れていつの間にかキュオネは泣くのを止めていた。そのキュオネの頭をデメテルはそっと撫ぜる。
「当たり前だろ…こんな嫌なことしか起きない人生なんてもう勘弁だね。」
 キロは、縛り付けられた自分の腕を眺めた。その目には、彼女が捕まってから18年間に渡る出来事に対する怒りと諦めの色があった。

「生きて、キュオネを育ててくれませんか?」
 意外な言葉に、キロは面食らったが、すぐにデメテルを睨んだ。それにも構わず、デメテルは、キロにキュオネを差し出した。キロは、更に暴れようとしたが、キュオネを鼻先に持ってこられ、動くのをやめた。
「あんた馬鹿だろ…。あたしが何人殺してきているか知っているよな…裁いた立場なんだから…忘れないよな。そのガキの命を何だと思っているんだ。」

 キロはあきれ果てた顔をして、傍に持ってこられた赤ん坊を眺めてから、血で汚れた痣だらけの自分の腕を見た。
「貴方は、確かに沢山の人を殺めました。けれども、自身が大切に思っている人間を殺める程、狂ってはいなかったはずです。」