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さきかわ このり
さきかわ このり
novelistID. 33994
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ツン彼とデレ私 (出会い編☆続き)

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「あ・・」

「えっ・・」

突然静寂をやぶった彼女の声にふいを突かれた俺

「あの・・
 あ、ありがとう・・。ごめんなさい。」

消え入るような声が意外にかわいらしかったので驚いた。
昨日のあの酔っ払い女と同じ人間とはとても思えない。

「いいえ、どういたしま・し・て!」
空気を重くしたくなくて
最後の言葉をくぎって軽い調子で言ってやった。
だが、ますます恐縮したように縮こまる彼女。

「あたし、迷惑・・かけたよね?すごく・・」
「まぁ、かなり。」

俺は正直に答える。

「で、これから君、どうするの?」
「・・・。」

「まだ決まって・・ない?」
「・・ん。」

こくりと頷いた彼女。

「じゃ、もう少し休んでたら?ここで・・
二日酔いひどいんでしょ?」

というとホットミルクのおかわりに今度は大きなマグカップで熱いお茶をいれて出してやった。

「お茶?」
「そ、お茶は二日酔いに良いんだよ、たくさん飲んで・・」

「ありがとう」
彼女は熱いお茶のマグカップを手でつつむようにして持ち
フーフーと息をかけながら少しずつ冷ましてお茶を飲んだ。
意外にしぐさが女の子らしい。
本当に昨日のあの女と同一人物なのか?


まぁ、どうやらその様子だと急性アルコール中毒で倒れる心配はなさそうだ。
俺はホッとした。
こんなところで倒れられてはたまらない。


「頭痛い?でも、その程度で済んで良かったよ。あれだけ飲んで
急性アルコール中毒にでもなったらどうするの?」

すると彼女はうつむいて黙り込んでしまった。

しばらくそっとしておこう。

「あの・・ここ、リビングにいて自由にしていていいから
ソファで横になって、もう少し休んでいたら?
洗面所はさっきのところ、トイレはその向かいだから
自由に使っていいからね。」

と彼女に言いおいて、俺は寝室へと向かった。
次の仕事の準備だ。資料、脚本のチェックをしないと。

扉の前で、ふと彼女を振り返ると、うつむいた横顔が悲しげに見えた。
いったい、彼女に何があったんだろう?

なんとなく気になって胸がドキリとしてしまった。



(つづく)