ツン彼とデレ私 (出会い編☆続き)
「・・・。」
「あ・・のぉ? あのっ!す、すいません~~~っっっ!!!(>△<;)」
「うぉわっ! あ・・!?」
俺は静寂を破った聞きなれない彼女の声で
突然我に戻り、おかしな声を出してしまった!
「う・・わぁ、びっくりした。なんだ君か・・」
ふぅ・・
ついつい集中しすぎて夢中になってしまってた。
俺はいつも脚本を読んでるうちに集中しすぎてしまい
他のことは何も忘れてしまうのだ。
「・・ん? 何だ?何か用か?」
「ごめんなさい邪魔して・・。あの・・」
「ん・・?」
「あの・・。 お腹・・へらない?」
「あ・・もうこんな時間?」
「あの勝手に、キッチンを使っちゃって・・ご、ごめんなさいっ(>。<)」
「え?」
俺は部屋を出て彼女とリビングに向かった。
なんだか食べ物のいい匂いが鼻にただよってくる。
「あ、作ったの?これ..」
「すいません、勝手に。あのでも、良かったら
一緒に食べませんか?私もお腹がへっちゃって・・・」
「あぁ、ありがとう。ちょうど少しお腹が減ってきたところだったよ。」
「よ、よかった!」
「ふぅ~ん、君の手作りの・・料理か?」
「あ、あまり私、料理は得意じゃなくて・・」
「そのようだね。これは・・もしかして・・オムレツ?」
「ひゃっ・・は、はいぃ(|||▽|||)」
恥ずかしそうにうつむく彼女に笑ってしまった。
「でも・・(パクリ)
味は悪くないよ。」
「あは・・」
顔を見合わせて笑う。
なんだか分からないけど、なんとなくほっとする笑顔だ。
オムレツと、カフェオレとフランスパンのトースト。
カフェオレか、いつもブラックで飲むから
飲むのは久しぶりだ。
けど、これでは少し甘すぎる!
「あ、カフェオレ。お口に合わなかったかな?好みを聞かないで作っちゃってごめんなさい!」
「うん、たまに甘いのも悪くないけど。脳が疲れてるし。でも、これはちょっと甘すぎ・・。」
「ごめんなさい・・。」
「いいよ、ありがと。
たまにはこうして人に用意してもらえるっていうのも悪くないな。」
「よ、よかった・・」
「ねぇ、君。 これで足りるの? まだ食べられるようなら、今度は俺が何か作ってあげようか?」
「え・・」
「うん、その顔ならもう二日酔いも少しは落ち着いたようだし、ちょっとなら食べらるよな?」
「あ・・え? はい。」
言うが早いか、いつものように手際よく料理をする俺。
二日酔いだから、あっさりめのスープパスタを作ってやった。
これなら胃にも優しいだろう。
「わ・・あ、すごい。美味しそう。」
「美味しそうじゃない。当然、美味しいに決まってる。 さ、食べてみろ。」
「は・・い(ぱくり)・・・。」
「どう?美味しいだろ?」
「・・・・。(もごもご)」
「聞こえない。何だって? ほらちゃんと言え。」
「おいひい。。です。(美味しいです。)
めちゃくひゃおいひ・・」
「ちゃんと食べ終わってから言えよ、ばか・・」
「・・ふ・・ごめんなはい(う、ごめんなさい)」
「ぷっ・・」
両手で口元を隠しながら、真っ赤になって言ってる彼女を見て俺は面白くなって笑ってしまった。
からかいがいのあるおもちゃだな。
モノトーンの殺風景な俺の部屋に
ぽやっとした、たんぽぽの花が咲いたみたいな感じ。
なんだか妙な取り合わせだ。
「あの、お料理、お上手なんですね。」
「あぁ。 どうやら君よりは ずっと上手らしいね。」
話すほどに、ますます小さくなっていく彼女。
「ま、遠慮しないで食べろ。
俺の手料理食べれる女なんてなかなかいないぞ。」
「え?」
今度は鳩が豆鉄砲くらったような顔で、目をぱちくり!
職業柄、表情の豊かな表現が出来る顔に興味を覚えるが
こいつはかなり面白い表情をすると感心してしまった。
思わず遠慮なく凝視してしまったが
なぜか彼女はフリーズ・・?
「ん、どした?」
「・・・・え!? あ・・。
なんだか瞳に・・吸い込まれちゃった?・・みたい。きゃぁ~~~~っっ(//o//)」
思わぬ彼女の言葉に俺はぶっっと吹き出してしまい
彼女の頭を手のひらでポンポンと軽く叩いた。
「君、面白い女(ひと)だね・・」
そしてなぜか二人はしばらくの間
バカみたいに笑ってお腹が痛くなってしまった。
(つづく)
作品名:ツン彼とデレ私 (出会い編☆続き) 作家名:さきかわ このり