移ろいの中で (1月9日 追加)
大丈夫、あなたには出来る
人は本当に面白いものだと常日頃感じている。どうしてもっと前向きに考えられないのか私には不思議でならないのですが、これも脳科学の分野が説明するのでしょう。
私は道楽と実益を兼ねて古い車、それも解体屋に並ぶ車が何倍も綺麗に感じる車を持って帰っては修理を行っていると珍しい、懐かしい車なので通りがかりの人が声をかけてくれます。
「まあ懐かしいですね、これ直すのですか?」
「はい、そのつもりでやっています」
「こちら車やさん?」自宅ガレージでやっているから誰もが不思議がるのです。
「いいえ、趣味、道楽でしょうか」と答えると全員が同じ答えをする
「まあいいですね、仕事で車の修理やっていたのですか?」
そして私は毎回同じ答えを返します「いいえ、まったくやったことありません」と。
みなさん一応に驚く、そんな素人がやれば出来るのですか?器用ですねとそしてまた同じように次の言葉を言うわけです
「器用でいいですね、わたしなんてとてもとても出来ません」と
もうこの答えは聞き飽きるわけですが、そのまま無言で居るのも悪いし、その人の為にもなればいいかなと言ってあげるのが「大丈夫、こんなこと誰にでも出来ます。現にこうして私がやっています。こんなことと私も思いましたが、自分の車、駄目なら頼めばいいとやれば出来ました。バカな私にできるのだからあなたにも出来ます」と。
ところがです。みなさん「いえいえとんでもない私には出来ません」というわけですよ。そこでなぜ??と聞くとその理由を述べだす。ある人はメカが弱い、ある人はセンスが無い、ある人は理由無く「私には無理」という。出来ない理由を言い訳としていえるならそこを直せば出来るようになるのだから出来るでしょと言っても「いえいえ、私は出来ない」という。おかしなものです。
ある日の事、同じように興味を持った農家の方が「これを直すのか」と近寄ってきたので同じ答えをすると、その後何回か訪れ「私はビニールハウスを作ろうと思うが、自分でも出来るだろうか」と聞いたので「自分のハウスですか」と聞きなおすと「そうだ」という。「それなら誰に遠慮がいるものかやれば良いんじゃないのですか!?」 とアドバイスし、忘れるほどして彼が訪れ「あの後ハウスを建てました、周りにはそんなものと馬鹿にされましたがやれば出来るもんですね。自信になりました」と嬉しそうにいうのです。
作品名:移ろいの中で (1月9日 追加) 作家名:のすひろ