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移ろいの中で (1月9日 追加)

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クリスマス 赤鼻のおやじ

もう少しでクリスマス。子供たちはプレゼントといってまたゲームをおねだりするのだろう。そうやってプレゼントを貰える子供たちは本当に幸せだなあと感じる。そういえば我が子にクリスマスってしたかなと考えると、私ではなく妻が一生懸命になってやっていたのを思い出した。日頃の会話の中で欲しいものを探っておき、親からのプレゼント以外にサンタからのプレゼントを夜中に枕元にそっと置いていた。子供たちは中学に入ってもサンタさんからのプレゼントといって、サンタを喜ばしてくれた。

昭和30年前半でも温かい家庭ではそういった光景が見られたようだが、我が家は違った。
サンタも居なければケーキも無い。今やクリスマスケーキでなくてもコンビニに行けば美味いケーキはいつでも食べられるが、そんなものとんでもなかった。2学期末給食ででるスカスカスポンジのバターケーキに赤いさくらんぼの形をしたグミが乗ったものでも満足できた。赤鼻のトナカイは日本に居るはずも無く、赤鼻になるのは父親でそのまま七福神の布袋になれば可愛いがその格好の厄病神だった。このシーズンになると連日飲み歩き、赤い三角帽子をしてベロベロになって帰って来ていたのが幼い記憶にある。
 
それでも一度だけクリスマスのプレゼントを貰ったことがある。凄いもので一回きりだから覚えているというのも皮肉なものだ。それはプラスティックで出来た列車のおもちゃで貨車やバックホーに変り石炭に見立てた丸い玉をすくっては上のホッパーに運び降りるとそこから玉が出てまたすくう、その永久仕事的なおもちゃだった。それが欲しいと思ったこと無かったが、夜騒がしくて目覚めると、どういうわけか枕元に置いてあり隣ではやはり親父がトナカイになって騒いでいた。

 これから忘年会の季節。世の中のお父さん、トナカイではなくサンタでもなく家族思いの父親として早く帰ってあげてもらいたい。