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移ろいの中で (1月9日 追加)

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 先日みた「真珠の耳飾の少女」だが、どこか違うなと会ったその時から感じていた。今彼女を様々な観点から分析する番組があり、有名写真家が似たモデルを使い写真に取ったり、耳飾の真珠について講釈を述べたりしていたが、分析すればするほどしらけてくるから面白い。
この日遠くに見える彼女は「ようやく会いに来てくれたわね」とささやいてくれているようだったし、帰り際、もう一度見てみようと離れてみた彼女は「次は私のおうちで会いましょう」といってくれているようでもある。それは私の妄想癖がそう思わせているのだろうが、そうかこの絵はそうなのだと今になってようやくその会った時の第一印象が解けた気がする。

 私がこの彼女を表現しようとしたらおそらく映像として表すのではないかと思った。
パーティーに呼ばれた女性が立って、他の人と話をしている。そう楽しい場ではないが彼女はその場にいて、手にはシャンパングラスでも持っているだろうか。気乗りのしない彼女はそれを察しとられることなく笑顔で接しいているが、少し離れた場所に昔好きだった彼の姿を見つけた。好きだったが訳あって分かれた彼は彼女に気づくことなく楽しげに談笑をしている。彼女は自分に話かけられていることも忘れて彼を見つめるがそれはほんの一瞬のことではあるが彼女には思い出が走馬灯のように蘇る。彼女に話しかけている男性の声はフェードアウトし、スローで流れる彼女の顔の表現、バックに何もいらない。彼女の思い出や今でも彼を思うその感情表現。役者の表現力が物凄く試されるが、それがこの絵の感想を表現する一つの方法だと私はイメージを膨らませた。

「そうか、実はこの子は正面を向いていて、心だけがこちらを向いている心象風景なのか。だからバックは黒でいいのだ」そう考えると何か胸のつかえが取れたようでもう一度写真を見ても楽に見られるようになった。

しかしそれにしてもフェルメールはすばらしい表現力であることは間違いの無いこと。
どのような方法でもいいから、一生に一度でいいから、このように見えないものを表してみたいものである。