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DESTINY BREAKER 一章 3

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桜花は自分を取り巻く環境がより激しくなっていることを知らなかった。
本人が自覚していないだけで桜花は人間という規格において間違えなく規格外の美人いえた。もちろん異性からの人気もあるのだが、桜花の通う学校の男子生徒は女子からのみえない威圧(というか実力行使)によって近づくことさえ恐れられているため結果的に桜花は男性から告白されたことは高校生になって一度も経験していない。


実は、腰まで伸ばしているロングヘアー何か伸ばしている理由があったような気がするけど、その理由自体を忘れてなんとはなしに切らないだけということ。夏樹のようにかわいくて小さな女の子に憧れて日々イメージトレーニングなどの努力する裏側で身長が伸び続けているということ。あの日の出来事が原因で自分は凶暴な女だと思われていないか本気で心配していることなどは他人が知ることのない桜花の本心である。
恋愛などの自信は多くが経験を重ねて培われるもの、その点において桜花自身が見た自分は自信を持っているわけではなく逆にコンプレックスの塊であることはいうまでもない。
「みんな人を見る目がないなぁ。ナツのほうが抱き心地いいのに・・・」
少し見当はずれなことを呟いた後に、ふぅと小さくため息をつくとロッカー内にある手紙や小包を授業の着替えが入っている手提げにいれ、桜花は奥に追いやられてしまった靴を取り出し上履きを履き替えるとまだ寒さがうっすらと残る世界に足を一歩進めた。


「バリ、バリ、グチャ、バリ、クチャクチャ」
巫治町から町ふたつほど離れた人通りの少ない山道の茂みの奥で黒い大きな塊が小さな塊にむしゃぶりつき、咀嚼する。さながら野獣の如し、しかし野獣ではない。
「バリ、クチャ、ガリガリ、バリ、グチャ」
足元には無数の小さな塊が散らばり、大きな塊はそれを一つずつ順番に拾い上げ、食し続ける。透き通るような白い手、しなやかにのびる脚、きれいなくびれのある腹部、苦悶と恐怖に歪んだ表情の頭部。まるでバラバラになったパズルピースのようであった。それは一つずつピースが減っていくから絶対に完成しないパズルなのだが。
大きな塊が最後の一つを口に運ぼうとしたとき、遠くから足音が近づいてきた。
大きな塊はわかった。
人間(たべもの)がこちらに向けて歩いてくる。
大きな塊はそれを確認した。
そして大きな塊は思った。
「モウ一匹食ベラレル」
作品名:DESTINY BREAKER 一章 3 作家名:翡翠翠