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DESTINY BREAKER 一章 3

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居心地の悪さを感じて桜花は早々にこの場から退散してしまいたかったが顔を見られているため逃げても仕方がないと思い自分のことを弁解した。冷静に考えればとんでもないことをしてしまったのではないかと自問自答する。あの時は無意識に体が動いてしまったのだが本当はできれば争いなんてしたくない性格だし(のはずだし)、そもそも普通の女の子はこんなことはしない(ここにいるけど)。いや、せめて無闇やたらと喧嘩をする女の子と思われないようにと誤解のないようにしたかったのだがうまく言葉が出てこないのでしどろもどろになってしまう。
「そ、そのこのことは忘れていいっていうか、学校には内緒にして欲しいといいますか・・・。おねが―――。」
そうだ、被害をせめて最小限にとどめようと決心し言葉を紡ごうとしたとき、
「ありがとうございました!私、怖くて何も出来なくて。」
「だから、って、えっ?」
自分には思いがけない言葉だった。感謝の言葉。
桜花は、『目の前で男二人を秒殺した女だよ?』と聞きたかったがクラスメート(であろう)女の子たちの口からは
「あの、ありがとうございました千条さん。」
「とてもかっこよかったです。」
「あの時千条さんが来てくれなかったら私・・・うわぁぁぁぁぁん!」
などと桜花が発言する間を与えないほど次々と言葉が繰り出される。
予想外の展開に桜花は少し慌てたが、まぁこの分だったら学校で怖がられることもないだろうと楽観し「このことはくれぐれも他の人には言わないように。」と告げその場を後にした。
帰りがけに夏樹が「いいの?」と聞いてきたがそのときは夏樹が何を聞きたかったのか桜花は皆目見当がつかなかった。そう桜花はこの出来事の大きさを楽観していたのだった。


翌朝。いつもどおりの昼食、夏樹と二人で窓際の席を対面するように合わせてお弁当を静かに食べる・・・はずだった。
何故か自分の机を囲むようにして女の子が集まっている。よく見れば昨日の女の子たちだった。
「えっと、どうしたの…かな?」
「千条《様》。」
桜花は何か違和感を覚えた。なんだ?『様』ってなんだ?
「その昨日はありがとうございました。よかったらこれ食べてください。お口に合うかどうか。」
かわいい包み紙とともに「クッキーです。」と差し出してくる女子A。
「そんな、抜け駆けは卑怯ですよ水野さん。あのこれ、ケーキなんですけど。」
作品名:DESTINY BREAKER 一章 3 作家名:翡翠翠