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DESTINY BREAKER 一章 3

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「あのぅ。その服どこからみても安物にしか見えないし十万円っていうのもめちゃくちゃじゃないですか?」
「・・・・・・・く、草薙さん?」
夏樹は渦中に身を投じていた。
「なんだ糞ガキ!喧嘩売ってんのか!」
「そうじゃなくて、彼女たちもこんなに謝ってるんだから許してあげても―――。」
「うるせえ!邪魔だ!!」
言いかけた夏樹が男に突き飛ばされ尻餅をついた。そこで桜花の何かが切れた。
「―――っ!」
脳で判断するより先に体が動く。
「あっ?なんだ、手前は。」
「桜花ちゃん!」
各々の反応を無視するように桜花はそのまま男たちと夏樹の前に体を割り込ませ、深く息を吸った。
「・・・・・・歯を食いしばりなさい。」
「はあ?」
リーダー格であろう罵声を浴びせていた男がまるで値踏みをするような目で下から上へ視線を動かし桜花を睨みつけた。並んでみるとはっきりと判ることだったが桜花のほうが若干身長が高い。しかし、『女』という自分たちとの相違点は男たちの気持ちの余裕を消し去ることはない。
それは桜花も判っていた。そして、そこに付け入る隙があることも。
「おい、なんか言―――。」
何かを言い始めようとする男の顔に桜花は照準を合わせる。
桜花は吸った空気を一度だけ短く吐くと、膝を折り体全体を低い位置に固定し、
「破っ!」
およそ男の反応できない速さで、体重を乗せ、かつ捻りを加えた掌ていを突き上げるようにして顎にヒットさせ、一度姿勢を立て直すと同時にぐらついた頭部に右上段蹴りを叩き込んだ。体を回転させ踵で横薙ぎにしたため男の首から上が見えない何かに強く引かれるように伸びる。
ぐぇっ!という呻きとハンマーで殴られたような衝撃が男の頭を激しくシェイクした。
「憤っ!」
白目をむき、ふらふらとしながら倒れようとする男の胸倉を掴み桜花は背負い投げのようにしてそのまま男を地面に叩きつけた。桜花はリーダー格の男が地に伏すと呆気にとられていた二人のうち片方の腹部続けざまに捻り込むようにして中段蹴り叩き込む、もちろん反応できるはずがない、目の前のことが信じられない様子で目に見えるほど狼狽している人間が、ただ自分だけを狙ってくる純粋な攻撃に反応できるはずがない。
その疾さは照準を定めない必中の銃弾であった。
「がはっ!」
作品名:DESTINY BREAKER 一章 3 作家名:翡翠翠