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DESTINY BREAKER 一章 3

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しかし、ある夏の午後である。その日は授業が半日で終わりクラスメイトの大半が午後からつるんで遊びに行こうという計画をたてていた。無論、そのときも桜花は我関せずといったふうに振る舞い周囲のクラスメイトも無理に誘おうとはしなかった。
そんな日の学校の帰り際、いつものように夕食の買い物を夏樹と済ませ、まだ帰るには少し早いと駄々をこねる夏樹に腕を引っ張られて商店街のアイスクリーム屋でジェラートを食べていた時である。大きな罵声と何度も泣きながら謝る女の子の声が聞こえてきた。双方の姿を桜花が確認すると、ガラの悪そうなチンピラが大事な服を汚されたと女子高生を責め立てている。よく聞くと『十万円』という単語が聞こえてきたが桜花にはその服が千円ほどで買える安物だとすぐにわかった。
「ねぇ桜花ちゃん。あれウチのクラスの子じゃない?」
横からひょこっと顔を出した夏樹の言葉を聞いて改めて見ると、なるほど確かに見たことのある顔ぶれだ。今日の午後から遊びに行こうと計画していた仲良しグループのひとつである。
「あの・・・十万円なんて・・・そんな。」
女の子の一人がそんなお金払えませんと訴えようとすると
「ああっ!おめぇが服を汚したからいけねえんだろ!これ一点ものだから代わりがねえんだよ。弁償なら五十万するところをクリーニング代だけでいいって言うんだから有難く思えやガキが!」
という汚い罵声を浴びせられて訴えようとしていた女の子は泣き出してしまった。
桜花の通う霧ノ宮高校の生徒は、いわゆる『育ちのいい』子が多い。市内でも名門と言われる私立高校の存在は格好の標的になったに違いない。また、それが原因とは言い切れないが男がただ金銭目当てで絡んできたことは明白である。そのチンピラ風の男の後ろには仲間だろうと思われる男が二人ニヤニヤといやらし笑いを浮かべていて、歩行者たちも関わらないようにその現場を無視して通り過ぎていった。
桜花の胸にムカムカとするものが込み上げてくる。が、正直、行動を起こすべきかどうか悩んでいた。自分の《本質》を知ったらどう思われるか、自分だけならともかく親友の夏樹が嫌がらせをされないかなどと思案していると、ふと横にいたはずの夏樹がいないことに気がついた。何処に行ったのかと思い視線をめぐらすと
作品名:DESTINY BREAKER 一章 3 作家名:翡翠翠