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DESTINY BREAKER 一章 3

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『一年F組 水野美紀他』
「・・・まぁいつもどおりかな。アハハ・・・・・・はぁ。」
乾いた笑いの後、無意識に肩を落とす。
「これじゃあ毎日が何かの記念日みたい。」
とそれらを見て桜花は苦笑した。
桜花はとある時期から突然先輩、後輩、同年代など幅広い層から好意的に思われるようになった。桜花の外見(それ)は夏樹のような『可愛さを』ではなく、飾らない自然体の『凛々しさ』を纏っている。腰まで届きそうなほど長いそれでいて黒曜石のように、しかし柔らかでもある黒く艶のあるストレートのロングヘアーをはじめ、二重がくっきりとした力強い印象を持つ濃く黒い瞳は見る者の心を奪い、唇が薄く形の良い口、それにより構成された女性から見ても美しいと強制的に思わせてしまう整った顔立ちと無駄な肉が付いていない均整のとれた体つき、百七十後半の高い身長とすらりと伸びた長い手足といった優れた要素を持ち合わせ、くわえて運動神経の良さは一度経験したことならば軽く平均以上にこなしてしまえるといった身体的能力により、周りから霧ノ宮の姫、通称『霧姫』と呼ばれるようになり、それに憧れる生徒から友情を超えた感情をぶつけられることが絶えない。現に入学してから早一年、女の子に告白された回数は自分の手足の指を合計しても足りない。
一番の問題がここにあった。女性から見ても美しいと思わせる桜花だが、それでも桜花はれっきとした女子である。普通なら男子が何かしらのアクションを起こしても不思議ではないはずがそのようなことが起こる前兆すらなく、逆にいまでは当然のように学校にいる男子の人気を遥かに凌ぐ不可思議な存在になっていた。


以前にこのような事件があった。これがそもそもの発端といっても過言ではない。
一年程前、めでたく第一志望の高校に受かった桜花は夏樹と一緒に穏やかな高校生活を過ごしていた。周囲に打ち解けることが苦手だった桜花は中学校からの親友である夏樹以外とは積極的に人と関わろうとせず、タイミングを逃すと難しいもので、他の人からいつの間にか付き合いに距離を置かれる存在となっていた。そもそもそれ自体が桜花にとって辛いことかというとそうでもなく夏樹という存在が傍にいてくれるだけで自分は十分に満たされているのだと感じていたので気にすることはなかった。
作品名:DESTINY BREAKER 一章 3 作家名:翡翠翠