おちていく…
短い性愛は、いとも簡単に終わった。
愛子は、時間が気になった。
「ね、ねぇ?」
愛子は、矢田の躰から離れてから呼んだ。
「んん?」
「今日は、もう帰って?私達は、明日からはずっと一緒だけど、でも奥さんと子供達は明日で最後なのよ。最後くらいは…」
矢田は、愛子の口を塞ぐようにキスをした。
「分かったよ…」
矢田は短い息を吐き、諦めたように愛子から離れた。
「ねぇ、途中まで一緒についてってもいい?私、良一さんがどんな道を歩いて帰るのか知りたいな」
「なんだ、急に?ヘンなやつだな」
「だって、もうこの街も明日で最後でしょう?そうしたら、なんか急に淋しくなっちゃって…」
「いいよ、分かった。じゃ、行こうか?」
「ねぇねぇ?途中、コンビニでお酒買って、明日の待ち合わせの公園で飲まない?私も何だか今日は、興奮して寝れそうもないし…」
「そうだな。まだちょっと早いし。そうするか?」
「じゃ、早く行こうよ!」
そう言って、愛子は矢田を急かすように部屋をあとにするのだった。
途中、二人はコンビニで大量の酒を買い込んだ。
「おい、おい。そんなに買って飲めるのか?」
と、矢田が驚いていた。
けれど、愛子はその言葉を無視をしてビールやウォッカにワインや焼酎、日本酒などの、
少しきつめの酒を中心にカゴに放り込んでいった。