おちていく…
― 二日後 ―
「いよいよ、明日だな…」
「そうね…。何か、実感が沸かないわ、私」
午後8時半。
矢田は、いつものように愛子の部屋に来ていた。
「今日は、緊張して眠れないかな?」
「辞表は?もう書いてあるの?」
あ、あぁ…。これか?
そう言って、矢田は内ポケットから封筒を取り出し、愛子に見せた。
「いよいよなのね…」
「あぁ…。いよいよだ」
矢田は愛子を抱き締め、キスをした。
とても穏やかな顔をしている矢田を見つめ、愛子は今日であなたとは最後なのよ、と思う。
そして、矢田にされるがまま身を任せた。