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『ツキウサギ』

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●つきうさぎ13『かけっこ』


「びゅーんっ、こんばんわツキ君っ」

「おや、素早い登場だねウサギ君。こんばんは」

「どう、早かったでしょ?」

「うん、とっても早かったよ」

「えへへー、ありがとうっ」

「それでまた、今日はどうしたんだい?」

「今日?……あ、そうそう!」

「な、なんだい?」

「今日はね、おっきい木の下でかけっこ大会があったんだよっ」

「へー、そうだったんだ。ウサギ君も出たのかい?」

「うん、だけど負けちゃった。がんばったんだけどなぁ」

「惜しかったんだね、きっと」

「うんっ」

「それでね、決勝戦はチーター君とクロウサギ君だったんだよ」

「へぇ、クロウサギ君もがんばるね。ウサギ君と同じ位の大きさなのにねぇ」

「そうなんだよ、でもすっごい早いんだっ」

「へー、ウサギ君もがんばってね」

「うんっ」

「それで、どっちが勝ったんだい?」

「それがね、なんとクロウサギ君だったんだよっ!」

「へー、それは本当に凄いねぇ」

「でね、でねっ。チーター君は負けちゃったからクロウサギ君に連れられて茂みの方へ行っちゃったんだ」

「へ、へぇ……」

「それでね、茂みの方からね、チーター君の泣き声が聞こえたんだ。負けたから悔しかったんだね」

「そ、そうかい。……クロウサギ君、そういうの好きだもんねぇ…」

「うん、きっとチーター君を慰めていたんだねっ」

「そ、そうだねぇ」

「それにしても」

「それにしても?」

「クロウサギ君があんまり早いんで、丸いコースのスタートからゴールまで一瞬で移動したようにしか見えなかったんだ」

「……ん?それってコースを一周したんじゃなくて、スタートからゴールに一歩下がったんじゃない?」

「まっさかぁ!」



 ―おわり―
作品名:『ツキウサギ』 作家名:ねむうさぎ