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『ツキウサギ』

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●つきうさぎ14『虫歯』


「聞いてよツキ君ー!」

「なんだいウサギ君?」

「今日ね、ドラゴン君が『虫歯が痛い』って言うから、口に入ってあげようとしたんだ」

「えっ!?だ、だめだよ危ないよっ!?」

「そんな事ないよ、大丈夫だよ」

「そ、それでどうしたんだい?」

「お腹を鳴らしたまんまのドラゴン君が可哀想だったから、すぐに家に帰って支度して行ってあげたんだ」

「うんうん」

「そしたらさ、ドラゴン君たらボクの姿を見るなり逃げちゃったんだよ。もう、せっかく急いであげたのにっ」

「し、支度って何を持って行ったの?」

「お餅付きのキネを持っていっただけだよ」

「な、何に使うのかなぁ、それは。ウサギ君?」

「もちろんっ」

「……もちろん?」

「お餅をついてあげようと思ったんだよ。まずは腹ごしらえがいいかなぁって思ったんだよ」

「ああなんだ、てっきり虫歯の歯を……」

「てっきりー?」

「う、ううん、なんでもないっ!それよりもドラゴン君と会う時はキネ持っていくといいよ」

「うん、流石ツキ君。優しいねっ」



 ―おわり―
作品名:『ツキウサギ』 作家名:ねむうさぎ