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甜茶no言葉遊びし短編(したい)ね

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《其の二 ピクシー》

我が家の愛犬『ピクシー』は元気いっぱい走り回る。
中型犬なので、部屋の中にも入れてやることがあるが、廊下はもちろん座敷、二階への階段、リビング、洗面所にまで走りこむ。叱るのも疲れた。
では外にといっても、ピクシーが満足できる庭などない。ましてや繋いでおいては三十分も持たずにノイローゼになりかねない。
我が家のもっとも広いスペース、二台分の駐車場がピクシーのお気に入りスペースだ。
まあピクシーが、しゃべれれば「狭い」と呟くだろうが…。
だから、散歩が好きである。
歩かない愛犬をお持ちの方には羨ましいことかもしれないが、飼い主は、散歩が嫌いだ。
違う。一緒に散歩したいと犬を飼いだしたのだ。だから、苦手くらいにしておこう。
まず、ピクシーにリードをつける。「待て!」ピクシーはぺろりと可愛い舌を出し、ちょこんと待っている。実に可愛い。
さてと…。飼い主(その日の当番)は、軽い深呼吸をし、手足のストレッチ。足首を程よく回し、その場駆け足を少々。「それじゃあ、いくか」
リードを持つと、ピクシーの顔を間近に「ハジメはゆーっくりね」ワン!「よし」
おりこうさんに返事をする。門を出る。
だぁぁぁぁぁぁぁっ。はい、いつも通りのダッシュ。
リードを引く手など、お構いなしだ。ただ訓練を受けたおかげで、道角は、気をつけるようだ。子どもを見ても飛びつかない。犬に出会っても気にしない。良い子なのだが、何故にこの行為だけはやめられないんだろう。まあ、それもいい。
しかし、いつも犬に引かれ、だぁぁぁぁぁぁぁっとカッコ悪くドタドタと走る姿を
町内会にさらしたくはない。そうだ。今日はこっちへ行ってみよう。
ピクシーとも来たことはある。
道角でスピードを緩めたピクシーのリールを引いた。
「今日は、こっち行くよ」ピクシーが一瞬見上げた。思惑通りに方向を変えてくれた。
こちらには、走れる公園らしき場所がある。ただ、季節によって毛虫や蜂がいるらしいのであまり近づきたくはなかった。
でもピクシーは、広場を見て大喜び。とうとう飼い主のリールを持つ手が外れるほど
勢い良く走り出した。
小高い丘のその先には、からっぽの…。
えっ!? 駄目じゃん。キラキラ光る水面?
その時、飼い主が叫んだ。

「飛んでー池―」

その美しい姿。ピクシーは妖精のように飛んだではないか。
ボチャン! 「あ」
申し訳なさそうに戻ってきたピクシーは、飼い主の前で大きく体を振るった。