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甜茶no言葉遊びし短編(したい)ね

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《其の三 あいつ》

♪〜あいつなんか、あいつなんか、銀河系まで飛んできゃいいのに♪
          【銀河系まで飛んで行け!】作詞by喜多條忠
 
ともだちなんかじゃなく、あなたは、ずっと傍にいると思っていた。
ん…(涙で言葉がつまる・・・)
でも、そうじゃなかった。あいつが一緒に居たかったのは、あの子。
いつまでも、待っていたんだね。あの子の気持ちがきっと戻ってくるって。
けっきょく、私はそれまでの話し相手。最初からわかってた。

でもさー。
ヒトの気持ちなんてわからないじゃない。
いつ、コロっと こちら向くかもしれないわけで、私だってそれほど悪かないと
思うし、それなりに慰めもしたわけだし。
あいつだって、まんざらじゃなかったと思うよ。
なのに何よ、あの態度。少しは気も遣ってよ。私の立場って何処に置いてきたのよ。
あの子の姿見た途端、すぅーと私は透明人間。あいつは私を霊体のように擦り抜けて
ガシッて音を立てて抱き合って、ハグハグ。
まいっちゃうなー。
最新宇宙観測ロボットなんて、所詮、機械じゃないの。
技術者のあいつは、その人工知能に自分の事、インプットして。
宇宙を彷徨う間、ずーっと思わせておくなんてさ。ずるいよ。
この実験で、ヒトが行っても安全が確信できたんでしょ。
だったら、今度打ち上げるときにはさ。どうぞご一緒に。
そうよ、あいつなんか、銀河系まで飛んできゃいいのに・・・。
ある日、準備は整った。思った通り、あいつは乗り込むそうだ。良かったね。
やっぱり、あいつは、あの子を連れてゆく。
「いってらっしゃい。気をつけて。あちらからの交信待っているわ」
私は、気丈に振る舞い、あいつの旅立ちを見送った。
宇宙センターとの交信。順調だと伝えられた。
が、ある日の交信日。宇宙センターが騒がしい。どうやら何かのトラブル。
部品が、外れた?このままではメンバーが危ない。
モニターに受信されたのは、ロボットのあの子がその代わりをする間に部品を
取り付けるようだ。時間が過ぎる。
「よしやった!」宇宙センター内に歓声が上がる。(良かった。あいつも無事ね)
憎らしいあいつだけど、モニターを見ながら安堵する。
あ、でもあの子の手が外れそう。
その時、私は叫んだ。

「飛んで行け!」

その美しいメタリックにショッキングピンクのラインのボディ。あいつが心を込めて
ペイントしたリボンのあの子が宇宙空間に飛んだではないか。
「これで、あいつは私の元へ。ふふふ私のものよ。カンバーック!」
小声で呟き、ガッツポーズの私を誰も見ていない。
 
    ― 了 ―